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【読書感想】一緒に暮らして教えてもらったこと。:石黒由紀子『猫は、うれしかったことしか覚えていない』

この本との出会い

ミロコマチコ氏が描いたカラフルな猫たちが画面いっぱいを埋め尽くす装画が特徴的で、これが平置きになっていると目に留まるのですが、まさしくどこかの書店員が仕掛けたこの罠に嵌って手に取ったのがきっかけです。
ただ、タイトル自体もなんとなく聞いたことのあるものでしたので、購入に至りました。

こんな本!

あらすじ(内容)

さて本の内容ですが、ショートエッセー集になりますので「あらすじ」というものは存在しません。
冒頭で著者である石黒氏の飼う先輩犬「センパイ」と後から飼われることになった後輩猫の「コウハイ」のことが軽く紹介され、主にコウハイのことを中心に、作者が彼らのエピソードを観て、作者が感じたことがゆるーく示されます。

ジャンル

ジャンルは

  • 文学

  • > エッセー(随筆)

です。

ボリューム

エッセーが60篇、ページにして200ページほどあります。
各篇は一見したところ時系列順になっているようですが、それは重要なことではないので、目次から引いて、あるいは適当に開いたところからなど、行ったり来たりしながら読んでも良さそうです。(網羅したいので、私は頭から読みました。)
ただ事前知識として、センパイ・コウハイ以外にも作者が出会った猫、あるいは作者が又聞きで話を聞いた猫が登場する(?)ということを念頭に置いておくと、余計な混乱を招くことがないかと思います。

感想!

作者が後書きに書いている通り、

インパクトがあるからタイトルがひとり歩きすることがしばしば。
石黒由紀子「猫は、うれしかったことしか覚えていない」幻冬舎 -文庫版あとがき より

とのことですが、確かに私が書店で手に取ってレジに並んでいる間「本当かな?」と懐疑的になっていたことを思い出します。まぁ、これはかなり大袈裟な、あるいは大雑把な言い方ですが。とはいえ、真っ向からこれを否定するのも、それはまた違いそうです。
実際、彼ら(猫たち)がどのように感じ、何を考えているのかは言葉が通じない以上は知る由もありません。しかし、何も語らないからこそ、その姿・行動で示していることに対して我々は何がしかを読み取ってしまう。これはまさしく手段目的推論の誤作動の例示みたいな現象ですが、それはそれとして、そこまで深く考えなくていいのです。
猫の行いを見習うことができるくらい、猫を愛し、見守っているか? ということが問われているわけで、まさしくこれに「YES」と答えることができるであるだろう作者だからこそ、このエッセーを書けたのでしょう。
また各篇ごとに、それにあったミロコマチコ氏の挿絵が添えられていて、一冊全体で見ると点数がかなり多いのも特徴で、読んでいて面白い・楽しいポイントのひとつです。

こんな人におすすめしたい!

猫好きさんには、ぜひおすすめの一冊です。
かくいう私もねこ検定を真面目に受けて初級を一発合格する程度には猫好きなのですが、それを差し引いても生活の中、あるいは仕事の中において活かせそうな気付きを与えてくれることもあるので、居間や仕事机の上などすぐ手に取れる場所に置いておいて時々読み返すのもいいかもしれません。

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