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お金には色が付く

アイデアをカタチにする旅路で、ほぼ確実に登場するのが資金調達。その際に耳にすることのある「お金の色には気を付けよう」という言葉だけれども、そこにはいったいどんな意味があるのか。今回はそれについて簡単に解説していこう。

 一つ目の「お金の色」は、誰からお金を受け取ったのかに起因する。資金が獲得できたと喜ぶのは良いけれども、その出所次第では、信用や信頼、さらには他の事業者との関係を失うリスクもあり得る。

 例えば、柑橘類の生育を200%向上させる肥料の開発において、かつてミカン生産地を支配していた豪族から出資を受けたとする。喜んでいたのも束の間、その豪族が裏社会とも繋がりがあることが発覚し、他の投資先が次々と消滅する、なんてことも。

 二つ目の「お金の色」は、どんな約束でお金を受け取ったのかに起因する。資金が獲得できたと喜ぶのは良いけれども、提供された資金に紐づく条件次第では、事業の自由度が大きく損なわれることもあり得る。

 例えば、柑橘肥料プロジェクトにおいて、地方を愛する豪族から出資を受ける際、「工場はミカン生産地の有田に設立します」と約束してしまうと、その後にフラットな視点で設備投資を進めることが難しくなる、なんてことも。

 三つ目の「お金の色」は、どのようにお金を使ったのかに起因する。資金を獲得できた時だけでなく、獲得後の資金の使い道によっても、信用や信頼を失い、次のステップに進めなくなることもあり得る。

 例えば、柑橘肥料プロジェクトで調達した資金を、事業とはあまり関係のない豪華なオフィスの内装や、他の会社と比べて不相応に高い役員報酬に使い込んでいた場合、事業が飛躍的に成長しない限り、次の投資家が現れない、なんてことも。

 資金はただ獲得して、ただ活用すればよい、というものではない。誰から受け取ったのか、どんな条件で受け取ったのか、そしてどのように使ったのか、これら多くの要素が、資金には必ず伴って影響を与えるもの。だからこそ、お金の誘惑に負けず、慎重に判断しながら、アイデアをカタチにする旅路を歩んでいこう。

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