感謝と共に手渡される社会課題解決のバトン
挑戦を支える全国各地の皆様に光を当てるSupporter Interview。今回のインタビュー対象はギフテッドの子供たちに新しい教育の形を届けるべく社会起業に挑戦中の渡邊 眞雪さん。世界にまで足を運んで課題解決に従事する生き方について伺いました。
── 眞雪さんの現在の取り組みについてお聞かせください。
今、社会起業に挑戦しているんです。元にある想いは、人間が人間らしく生きていないことで心が満たされず物欲に走り、自然や動物や地球が被害を被っている状況にあると思っています。人々が心満たされ、人間らしく生きることが結果として地球を救うんじゃないかと、そんな大志を抱いて非力ではありますが取り組んでいます。
── 具体的にはどんな取り組みでしょうか?
それに少しでも近づくためのチェンジの最初のウネリとして着手しているのは、ギフテッドの子供達の教育環境作りです。義務教育時点から学びたいことを選択して知的好奇心のままに学ぶことができる場作りや、ギフテッド以外のもう少し広い新しい概念を生み出すことを進めています。
── どういった拝啓からその着眼を?
まずギフテッドと言うのは、いわゆる浮きこぼれしている子供たちのことなんです。IQを測る時は言語理解や処理速度など様々なカテゴリーで測定されるのですが、平均をIQ100とした時にいずれかで130以上のものがあったり、特定の分野ですごい集中力を発揮したりする子供たちのことを指しています。
── 浮きこぼれしている子供たち。
例えば小学校3年生時ですでにサインコサインでいろんな図形を作って遊んでいたりとか、小学校2年生にしてルービックキューブをいろんな図法で展開して遊んでいたりとか、知的好奇心が凄く強い子供たちです。けれどもそんな彼らが意外と画一的な教育で苦しんでいて、不登校が多い実態があるんです。
── 画一的な教育から生まれる苦しみ。
私自身、学校で腑に落ちないことが多すぎて嫌でしょうがなかった実体験もあって、それをきっかけに周りをふと見てみたら意外と似た背景で不登校になっている子が多いって気付いたんです。調べてみると、そんな子たちは他の人よりも外部の環境から心理的な影響を受け易いことも分かって。だからこそ、そんな彼らが安心して知的好奇心のままに学べる新しい環境を届けたいと思い、それを作り始めているんです。
── ご自身の経験から社会起業家への道を踏み出されたんですね。眞雪さんはアフリカにも足を運んでいらっしゃいますが、これも社会起業の一貫でしょうか?
これは少し違ってアメリカ時代のご縁なんです。アメリカの大学に通っていた時、向こうの風土に自分が合わなくて鬱になりそうだったんですね。そこで卒業生に片っ端から連絡を取って何か動き出せるものがないか探したんです。
── とんでもない行動力ですね(笑)
その中の一人の方から、ケニアで団体を運営していて、活動をサポートしてくれる学生を探している方を紹介してもらったんです。ちょうどその方の娘さんが同じ大学の同じ学部だったので、ご縁を感じてジョインしました。
── その結果、アフリカではどんなプロジェクトに従事されましたか?
ケニアにおける女性のリーダーシップを支えるプログラムなんです。ケニアでは高い割合の女学生が十代で妊娠を理由にドロップアウト、そうならなかったとしても生理用品が高過ぎ、生理期間中に学校を休まざるを得ないという状況があるんです。それを改善するためにワークショップやレクチャーで支えるというものでした。
── 先日、新潟県長岡市でTEDにご登壇されていましたが、そちらはケニアのプロジェクトに関するものだったのでしょうか?
ケニア限定というよりは、私の生き様を伝えて欲しいとのリクエストでした。StartupWeekend(以下SW)を通じて知り合った方からのお声掛けだったんです。社会を良くしようとする活動や、そこへ君を突き動かす想いをみんなに伝えて欲しいって(笑)でも自分はまだ何も成し遂げていないですし、なんなら大学も辞めてるんで今はジョブレス、ホームレス、肩書レスです(笑)そんな人間に毛が生えたような20歳のやつでも面白がって話しかけてくれたり、そう言う機会をいただけるのはとてもありがたいです。本当に。
── そういった流れだったのですね。眞雪さんの人生に多大なインパクトを与えたSW、それを長岡で開催したいと思ったきっかけは?
実は新潟は起業率がほぼ全国最下位レベルなんですね。けれども後輩の学生たちはそんな空気感を一切感じさせないぐらいアクティブ。ただ、東京と違って彼らがチャレンジできる場所が少ないので、それを何とかしようと思って故郷の長岡にSWを持ち帰ったんです。
── SWのどこに魅力を感じていますか?
安心安全な環境下で起業体験を積めるところです。社会に出ると、特に今の日本は失敗が許されなくなっていくじゃないですか。だからこそ、学生たちがクッションがふかふかな場所で自由にやってたくさん学べることに価値があると思っているんです。
── クッションがある場所で挑戦、素敵な表現ですね。そんな眞雪さんはどちらでSWに出会われましたか?
母校のISAK、軽井沢にある全寮制インターナショナルスクールで出会ったんです。夜ご飯を食べに食堂に行ったら、見ず知らずの方たちがご飯を食べていてびっくりしたんですね。友達のYukaが仕切っていたので話を聞いてみたら「え、SWやってるって知らなかったの?」って言われちゃったんです(笑)なんだか面白そうな空気感があったので、開始3分前に何も知らずに飛び入り参加を決めました。
── どうでしたか?
最高でした。もう刺激が強過ぎて(笑)SWを通じて私はビジネスという概念に出会うことができたんです。今、社会を良くするビジネスに挑戦している私の姿は、このSW軽井沢と出会わなければなかったかもしれない。そう言い切れるぐらいのインパクトがあったんです。
── 眞雪さんの人生に多大な影響を及ぼしたんですね。そんな風にして今、アイデアをカタチにすべく挑んでいる眞雪さんにお伺いしたいのですが、そのプロセスで何が特に大切でしょうか?
とにかく足を動かすことが本当に大事だと思っています。一番最初はアンケートでニーズをかき集めようとしていたんですね。けれどそれじゃダメって途中で気付いたんです。アンケートで、困ってます、と軽々しく答えられちゃうことは、もうきっと解決手段が世の中に無数に用意されているんです。まだ言語化されていないものを見つけられる現場にこそ、本質的な問題解決のアプローチを進められると思っています。言われたら当たり前のことなんですけど、でもそこで躓く人は意外と多い。
── 現場にこそ価値がある。
そしてもう一つ大事なことは自分自身を信じ切ること。自分ができないと思って歩みを止めたらなんにもできないんです。できると思うことから行動が始まり、それを重ねて少しずつ周りが変わり始める。もしかすると最初から成功確率は1%のアイデアかもしれないけれども、トライしなければその確率は思えばそれは0%になってしまう。諦めなければ1%が花開くかもしれない。
── そんな不屈の挑戦者は何を大事にすべきでしょうか?
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