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伴走支援の消失

 アイデアをカタチにするための伴走は、今や広く知られた取り組み。リソース不足を補うため、思い込みを打破するため、さまざまな理由で新規事業には伴走が導入されるもの。

 けれども残念ながら伴走がうまく機能しないケースも時折。その一つに、定例ミーティング(MTG)の頻度不足というものがあるので、今回はそれを紹介していこう。

 頻度不足が導く帰結の一つ目は、記憶の消失。ある企業では、伴走者との打ち合わせを本業が忙しいとの理由から一カ月に一度の設定になることに。その結果、毎回打ち合わせのたびに「そういえばあの件は…」と、前回の内容を思い出すところから始まってしまい、進捗が遅れてしまうことが頻発。

 例えば、ミカン尽くしのサウナ事業の検討を進めていたとする。ミカンの古木を燃やし、ミカンの花を漬けた水でロウリュを行い、ミカン果汁の冷水を準備する。こうしたアイデアも、一カ月ごとの打ち合わせでは「ええっと、今回は市場分析の進展からでしたっけ?」と、記憶が曖昧になり、スムーズに進まなくなってしまうもの。

 頻度不足が導く帰結の二つ目は、熱量の消失。打ち合わせの間隔が長くなると、前回は「これをやろう!」「必ず成功させます!」と意気込んでいた気持ちも、次回までには冷めてしまい、また最初から「このプロジェクトに意味があるんだっけ?」と振り返ることから始めることに。

 例えば、ミカン尽くしのサウナ事業も、前回のMTGでは全力でリソースを投入しようという勢いがあったのに、一カ月を経た次のMTGでは「急いで無理に新規事業をやらなくてもいいかも…」と、モチベーションが大きく低下していることがあるもの。

 頻度不足が導く帰結の三つ目は、行動の消失です。打ち合わせの間隔が長くなると、「次のMTGまでにやればいいや」と思ってしまい、期限に甘えて行動の駆け出しが遅れてしまう。結果、何も進まないまま時間が過ぎてしまい、MTGで報告もできなくなることに。

 例えば、「ミカン尽くしのサウナプ事業、今本業が忙しいし、次のMTGは来月だから、月末くらいから本気出そうかな!」といった気持ちが生まれ、さらには月末になっても動けず、MTGに臨んでも進展が何一つない、という状況に陥ってしまうもの。

 MTGを設定するのは手間がかかるもの。けれども、MTGの間隔が空きすぎると、記憶は曖昧になり、熱量が失われ、行動も滞り、ひいては未来さえも見失ってしまうことに。だからこそ、MTGの時間は短くても構わないので、MTGの開催頻度を高め伴走者との接点を持ち続けていこう。アイデアをカタチにしたい皆様の一助となりますように。

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