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アドバイザーは入れ過ぎず

 アイデアをカタチにする旅路を歩み始める際、まだアイデアの方向性が固まっていない段階で、アドバイザーを入れ過ぎると悲しい結果に終わってしまうことが多い。というわけで今回は複数のアドバイザーを最初から入れない方が良い背景についてメモを残していこう。

 一つ目の控えるべき背景は、アドバイザーたちのコメントがズレるから。複数名が支援している場合、それぞれの経験や思想が異なることから、同じアイデアに対して異なる視点から意見を述べることが多々。一見すると有益そうに見えるものの、混乱が引き起こされ前に進めなくなることも。

 例えば、枕にミカンの香りを仕込んだミカン枕を発売しようとする起業家がいたとして、ある人は「ホテルに試作品を置いてもらって反応を取ってくるべき!」と口にし、ある人は「コンセプト動画を作ってYouTubeで拡散させることから!」と口にし、優先順位の判断が付かなくなるように。

 二つ目の控えるべき背景は、アドバイザーの影響力が増し過ぎるから。アイデアが始まったばかりの段階では、そもそもどうして自分たちはこのアイデアに着手するのか、その想いを言語化できている人は少ない。その段階でアドバイザーの複数名から言葉を受け取ると、心の奥底で願っていた辿り着きたい未来から遠ざかってしまうことも。

 例えば、ミカン枕を手掛ける起業家は、かつて目覚めの悪さに悩まされた経験から、もっとリフレッシュして一日を始めたい、という想いを持っていたとしよう。けれどもアドバイザーから「起床よりも入眠の方が市場規模が大きいから、そっちに特化しよう」と言われ、他のアドバイザーからも「夜のニーズが強いから、そっちにしよう」と複数の言葉が届くと、自分の方向性が間違っているのかなと感じ軌道修正に至ってしまう。

 三つ目の控えるべき背景は、チーム内で反発が起こり得るから。マーケットはAさん、プロダクトはBさん、資金調達はCさん、と複数のアドバイザーに聞き続けていると、チームメンバーは自分たちの意見が軽視されていると感じ、士気が落ちることも。

 例えば、ミカン枕に対する相談をアドバイザーにばかり頼っていると、チームメンバーからすると、自分たちは意思決定の大事なところに関われず、タスクをこなすだけの存在かと疑問符がつき、貢献する気持ちが減っていってしまう。

 確かにアドバイザーは大切。自分たちが持たない知見を授けてくれる存在。けれども、走り始めた初期段階でたくさんのアドバイザーを迎え入れると、複数の方向性の提示から混乱し、影響力に左右されてしまい、また頼り過ぎるとメンバーの士気低下が起こり得る。あくまで何かあったら少し相談する程度に留め、まずは自分で、自分たちのチームで考え行動を起こす姿勢を持ち続けていこう。

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