見出し画像

共同創業に相応しい人

 アイデアをカタチにする旅路を誰と歩むのか。スタートアップを成功させるためには、共同創業するに相応しい人を見つけることが欠かせない。どんな人物が良いのか、それを今回は三つのポイントで紹介していこう。

 共同創業者の一つ目のポイントは、価値観が合致すること。これが最も重要だと言っても過言ではない。創業者同士の価値観や目指す方向性が一致していないと、アイデアをカタチにする上で深刻な対立を招くことがある。例えば中長期的な社会インパクトを重視するか、短期で利益を追求するため急拡大を目指した二人が喧嘩別れに終わった事例も冗談抜きである。

 例えば、「ミカンを発酵させてお酒を造る」というチームがあったとして、一人が地域振興のために地元のミカンだけを使おうとするにも関わらず、一人は事業成長の最大化のために地域のミカンだけでなく他の産地のものもコスト削減のために使い始める、といった具合の対立から、見事に崩壊へと至るように。

 そんな大げさな、と思われるかもしれないけれども、価値観の相違というものはありとあらゆるタイミングで現れる。それが積み重なって関係性にヒビが入り、物事が前に進まなくなることは多々起こる。

 共同創業者の二つ目のポイントは、変化に柔軟で学習意欲の高いこと。スタートアップとはその名の通り、短期で急成長する。中には5年で上場するようなところさえ。そうなってくると、役目や役割が固定化されない事態が起こる。新しいスキルを習得し、ピボットや新たな挑戦に迅速に適応できることは、組織の変化、市場の変化、アイデアの変化に対応する上で不可欠。

 例えば「ミカン酒」のチームに加わった当初はミカンの醸造を担い手として加わったかと思いきや、気付けばマーケティングからブランド構築から、顧客インタビューのスキルを身に付け、作り手から売り手へと変貌を遂げるようなもの。気付けば投資家との折衝で財務まで見渡すように。

 いやいや、専門家の人たちが資金調達毎にチームに加わってくるからそれはないでしょう、というツッコミはあるけれども、そもそも創業メンバーであるからこそ、全体を俯瞰して見渡すことは欠かせない。全てにおいて完璧に通ずる必要はないけれども、広く浅く関わり続けられるように学び続ける必要がある、というニュアンス。

 共同創業者の三つ目のポイントは、逆境に強いこと。スタートアップには困難がつきものです。資金繰りが厳しくなったり、競合他社が登場したり、チームが喧嘩したりとトラブルは無数に。こうした状況に対して、悲観的になって凹むのではなく、むしろピンチをチャンスに変える強い心を持つ姿勢が欠かせない。

 ミカン酒を造っていたとしても、天候不順で秋冬の収穫が不調になりそうだ、ということが夏場に判明したとする。それじゃあ黄色いミカンの見込みが立たないなら、摘果して落として捨てるはずだった緑の小さな熟していないミカンを作って何かできないか、と工夫してみたり。

 そこから黄色い甘いミカンのお酒ではなく、緑で酸っぱいミカンのリキュールが誕生することだってあり得る。「この状況で新たな機会をどう見つけるか?」ということを、ありとあらゆる状況に対して凹むことなく立ち向かっていくこと。

 スタートアップの共同創業には、そもそも価値観が合致していること、変化に対応できる柔軟さを持っていること、逆境に立ち向かっていける強い心を持っていること。それこそが大切な要素。もちろんスキルも大事な要素だけれども、目の前のスキルセットにばかり目が行くことがないように注意していこう。これから仲間集めに動かれる皆様の一助となりますように。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?