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価値なき提案は詐欺

 中本が全国でお世話になっている推しのベンチャーキャピタリストの御方から「価値がないものを売りつけるのは詐欺ですからね!スタートアップの世界も一緒ですよ!」というメッセージを週末にいただくことに。その言葉を耳にして、この言葉はアイデアをカタチにする旅路を歩み始める皆様にぜひ、お届けしたいと思ったので、今回はこれをテーマに書き進めていこう。

 この言葉の一つ目の背景は、アイデアに価値が存在しない時点でマネタイズを考えることに意味はない、というメッセージ。どれだけ技術的に優れた製品やサービスであったとしても、人があっと驚くものであったとしても、「人の課題を解決する」「人の願いを成就する」といった風にして、価値を創造していなければ、それは一銭のお金も生み出さない。であるにも関わらずマネタイズを議論することには意味がない。

 例えば、「ミカンを作った高級ミカンオイル、いいんちゃう?月々1,000円のサブスクで売ろうよー!」と議論したとしても、そもそもオイルがどれだけ高品質であったとしても、エコフレンドリーであったとしても、具体的な顧客の課題を解決してあげたり、願望を叶えてあげないものには価値がない。サブスクが~。値段は~。といった話し合いには意味がない。

 大切なことは、アイデアの価値を確かめてから次のステップに進むべき、ということ。ミカンオイルをどうしても作りたいのであれば、そこに泣いて喜んでお金を払ってくれる熱狂的な顧客は一体、誰なのかを突き詰めること。そして顧客はどうして、そこに対して喜んでお金を払うのか、そこにある課題や願望といったものを深掘りすること。

 例えば、「ミカンオイル、待ち望んでいましたー!500ml 10,000円でも買いますー!」という女性を、インタビューを繰り返した果てに見つかったとする。となれば、どうして財布からお金を取り出そうとしているのかを深掘りしていく。

 「秋冬に保湿クリームを使っているんですが、香りがちょっとオレンジ関連だとキツイものが多くて…」「もっともっと自然由来で安心安全なものを探していて…」「クリームだと肌に重く感じちゃうので、サラっと軽いオイルベースのものを求めていて…」「着物を着る時に合わせたい香りを求めていて…」といった風にして、課題や願望の明らかにしていく。

 そんな風にして、具体的な顧客が存在すること、切実な課題(願望)が存在すること、そこまで確かめることができたなら、そのアイデアの価値は明らかになる。価値が明らかになれば、それをお金に変えるための方法論(マネタイズ)を設計することができ、そしてそれを顧客に提示することができる。

 中本が推す御方の仰った「価値がないものを売りつけるのは詐欺ですからね!」というメッセージにはアイデアをカタチにする根幹のメッセージが込められている。アイデア(いわゆる製品やサービス)が思い付いたら、すぐにどうやってお金にするかに飛びつくのではなく、順を追って仮説検証を繰り返しなさい、という意味合いが。

 これはスタートアップだけではなく、社内の新規事業企画においても同じ。謎の壺を売りつけるような取り組みをしていないだろうか。絵に描いた餅を誰かに食べさせようとはしていないだろうか。そのアイデアには「価値」があるのか。誰かの課題を解決できると明らかになっているだろうか。詐欺師にならないよう、検証を進めた上でマネタイズに進んでいこう。自戒を込めて。

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