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二歩先の落とし穴

 新しいアイデアを考える際、「今ある製品やサービスの二歩先を考えて、一歩先から」といった言葉を時折耳にするものの、アドバイスとして難易度が高過ぎるなと思ってしまったので、メモを残しておこうと思う。

 二歩先が難しい理由は、単純に抽象度が高過ぎるから。ある人にとっては一歩先だと思った製品やサービスが、ある人にとっては二歩先三歩先、という風にしてチーム内で議論が進まず、またお客様からしても二歩先に見えても、作り手かすると一歩先、といったことも往々にしてある。

 例えば、二歩先のミカン農園!と言葉を放った際、完全に自動化され、ドローンを駆使して収穫から配送までを無人で行い、消費者に届くまで一度も人の手が触れない!といったイメージをある人はするかもしれないけれども、ある人は単純に、どの木々から収穫すると糖度が安定して売上が伸びるかを教えてくれるスマート農園をイメージするかもしれない。

 二歩先が難しい理由は、顧客や市場によって、どれだけの変化が求められるかは不明だから。例えば極端だけれども、ファッション業界では人の普遍的な衣類であるが故に一歩先しか受け入れられない。けれどもロボットやAR/VRを活用した新規産業では二歩先の提案こそ神、といったことも往々にしてある。

 例えば、既存のミカンの農園に対して二歩先の全自動ドローン収穫&配送サービスを提案したとしても現行との乖離が大き過ぎて断念するかもしれないけれども、最初から工場内で生産を行うスマート農園が相手であれば、ロボット化の提案こそ全て、となるように。

 二歩先が難しい理由は、製品やサービスが二歩先にまで進んでしまうと顧客と課題がブレてしまうことが多いから。この世界は常に日進月歩していて、新しい製品やサービスが登場する度に顧客も変わり、結果的に課題も変わる。つまり二歩先の世界を提案するということは、顧客も課題も全て今の想像を覆すレベルで変化している可能性があり、机上の空論で終わる可能性が高い。

 例えば、ミカン農園の二歩先の提案として全自動ドローン収穫を提案したとしても、もしかすると農業分野で遺伝子編集ミカンが開発されて、売れれば勝手に地上に落ちてきて、それを地面近くに敷いた網でキャッチして簡単収穫、といった世界が来ているかもしれない。

「二歩先を考え、一歩先から」というアドバイスは何度が相当に高い。独りよがりの妄想に終わらせることのないよう、まずは目の前の顧客に向き合い、そして顧客に合わせた未来を半歩先から築き上げていこう。No Talk, All Action!!!

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