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進化するトラクション

 アイデアの価値は最初の時点では不明瞭。だからこそユーザーや顧客からの引き合いを得ることで、本当にビジネスの可能性があると検証する、引き合いがあること(Traction)を確かめることが欠かせない。というわけで、始まりのアイデアに登場する三つの引き合いを解説していこう。

 一つ目のトラクションは興味関心。いわゆる「イイネ」に該当するもの。こんなアイデアがあるんだよと一つに伝えると、面白いです!詳細を教えてください!といった風にポジティブなフィードバックをくれるもの。

 例えば、ミカンの繊維で作られた土に還るエコバッグのアイデアがあったとする。それに対してアンケートを取ってみると、百人中、五人が欲しいとコメントをしてくれました!といった反応が得られるもの。

 けれども残念ながら、この手の「興味あります!」「いいと思います!」というのものは、ほとんどの場合は購買や導入に繋がないことが分かっているので、気休め、目安ぐらいしかならないことを心得ておこう。

 二つ目のトラクションは行動開始。人に対してアイデアを伝えると「それっていつ発売されるんですか?」「ホームページはどこにありますか?」「アプリの名前はなんですか?」といった風にして、顧客が自らアイデアを我が物とするために動き始めるもの。

 例えば、ミカンのエコバッグをスーパーの前でフライヤーを使って配布をしていると、「このQRを読み込んでおけば、販売が開始されたら通知を受け取れるのかしら?」「予約はこちらでいいんでしょうか?」といった風にして、メールアドレスを登録してくれたりするようなもの。

 ここまで来ると相当に価値があると言える。世界のスタートアップではアイデアのプロトタイプを作り、この状態を作り出すことで需要が確実に存在することを示し、そこから資金調達を成し遂げて勝負をする方々もいらっしゃるほどに。

 三つ目のトラクションは販売実績。人に対してアイデアを伝えたところ、「本当にそれが欲しかったんです!」「困っていたんです!」「まだ未完成でも大丈夫なので、お支払いします!」といった風にして泣いて喜んでお金を払うようなもの。

 例えばミカンのエコバッグのフライヤーをスーパーの前で配布していると、「もっとエコなアイテムはないかと探していたんです!予約させてください!え?予約には販売金額の10%が必要なんですか?それぐらい、もちろん喜んでお支払いします!」といったような行動を取るようなもの。クラファンの考え方もこれに近い。

 アイデアは思い付いた段階ではその価値は不明瞭。だからこそ仮説検証を繰り返し、ユーザーや顧客から引き合い(Traction)を得ていく。ただのイイネに終わらせることなく、自ら動き出す方々が登場するように、そして泣いて喜んでお金を払ってくださる方々が登場するまで磨き上げていこう。No Talk, All Action!!!

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