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共感や応援を導く物語

 アイデアを効果的に伝えるためには、ただ単に製品やサービスを説明するだけではなく、そこにストーリーを組み込むことが欠かせない。ストーリーは人の感情に訴えかけ、共感や応援を引き出す強力なツール。というわけで今回は、アイデアが支持される三つのストーリーパターンを紹介していこう。

 一つ目は、個人的な物語。リーダーや創業者が、なぜそのアイデアに情熱を注いでいるのかを自分自身の体験を通じて語ることで、聞き手の心に深く響くもの。

 例えば、あるリーダーが自身や家族がミカンアレルギーに悩まされ、秋冬にミカンを楽しめず悔しい思いをした経験から、何とかしてミカンの風味を保ちつつミカンの味を楽しめる新しい食品の開発に挑戦したとする。

 そんな個人的な経験を語ることで、なぜこのプロジェクトに取り組んでいるのかが明確になり、聞き手はその情熱に共感し、より強い支持を得られる。「自分ごと」としての物語は、聞き手にとっても共感しやすく、深いつながりを生んでいく。

 二つ目は、社会的な物語。個人の範疇を超え、アイデアが社会全体に対してどのような貢献をするのかを強調するストーリー。単に製品やサービスの利点を説明するだけでなく、社会の大きな問題やニーズにどう応えるのかを具体的に語り、聞き手の心に刺さるもの。

 例えば、柑橘類に対してアレルギーを持つ子どもの数が年々増加しているという統計データを示し、ミカンをはじめとするビタミンC豊富な果物が制限され、風邪をひきやすい子供に与えることが親にとって困難になっていると説明したとする。

 そんな社会的な背景を説明することで、社会の重要な課題に対する解決策であることが強調され、アイデアの重要性が一層明確になる。社会的な視点を含むストーリーは、多くの人々から賛同を得やすく、広範な支持を集める力となっていく。

 三つ目は、試練の物語。アイデアをカタチにする過程で直面した困難や挫折、そしてそれをどう乗り越えたかを語ることで、聞き手の応援を引き出すことができる。成功に至るまでの道のりがいかに険しかったか、何度も失敗しながらも諦めずに努力を続けてきた姿を共有することで、応援者を増やすことに繋がっていく。

 例えば、ミカンの風味を残したアレルギーフリーの食品を開発する過程で、何度も製品設計や試作に失敗したものの、改良を都度重ね、ついに安全で美味しいミカン食品を完成させたという話を聞くと、多くの人がその挑戦に拍手を送りたくなる。

 特に、苦境に立たされても粘り強く挑戦する姿勢は、聞き手に感動を与え、プロジェクトに対するサポートを引き寄せる。試練を乗り越えた経験を語ることで、アイデアに対する信頼感も高まっていく。

 物語はアイデアに魂を吹き込み、聞き手との距離を縮める力を持っている。自身の個人的な経験を共有し、社会的な意義を強調し、アイデアをカタチにする過程での試練や挑戦を伝えること。それら三つの物語を組み合わせて伝えることで、応援はどんどん集まっていく。これからアイデアに協力を集めたい皆様の一助となりますように。

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