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夢や理想を追うあなたに老子を送る

人生をかけて追い求めていた夢や理想が、ある日突然ただの絵に見えてしまうことがある。

まるで、ずっと空を見上げていたはずが、実はその先に広がっていると思っていたものがただの壁だったと気づくような感覚だ。


論文が進まず、いくら頑張っても思うようにいかないとき、その「壁」がぐっと目の前に迫ってくるような気がする。キラキラしていたものがガラッと崩れて、目の前が真っ暗になる。そのときは、何も見えなくなってしまったように感じる。

そんな時に出会ったのが、老子の『道徳経』だった。タオの考えは、頑張りすぎずに自然に身を任せることの大切さを教えてくれる。無理に壁を突き破ろうとするのではなく、流れに逆らわずに自分のリズムで進むことで道が見えてくるという教えだ。

老子の言葉の中でも、特に心に染みたのが次の一節だ。

「無事を以て天下を取る」

老子「道徳経」57章

この言葉の意味は、「何もせずに、無理せずに、ありのままの自分でいることによって、大きな成果を得ることができる」というものだ。
変にあがかず、自然体でいることが大切だと教えてくれる。

この言葉に出会ったとき、不思議と心が軽くなった気がした。あれほど進まないことに悩んでいたのに、「どちらでもいいんだ」と思えるようになった。進んでいなくても、休んでいても、それもまた「進んでいる」ということになる。結果や速度にとらわれず、ただ「今、ここにいる自分」を受け入れることができるようになった気がする。

今思えば、停滞の中にこそ見つけられるものがあったのだと感じる。無理して進まない自分も、自然のリズムの一部なのだ。休むこともまた、タオの流れの中で大切な役割を果たしている。

論文がうまく進まないとき、心の中のキラキラしたものが崩れ落ちてしまうように感じるかもしれない。でも、その崩れた先にもまた新しい道が広がっている。休んでいる自分もまた前に進んでいるのだと、自分を肯定していいのだと思えるようになった。

「休んでいる自分も、進んでいる」

この言葉を読者にも贈りたい。もし今、目の前が真っ暗で、先が見えなくなっているように感じても、焦らずに休んでみてほしい。無理せず、自然の流れに身を任せることで、きっとまた道が見えてくるはずだから。

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たくと
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