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きょうの金匱要略 12/15 嘔吐噦下利病脈證治 第十七(1)

論一首 脈證二十七條 方二十三首

※嘔吐と噦(しゃっくり)と下痢の消化器系の脈証と治療法を述べた編です

夫嘔家有癰膿 不可治嘔 膿盡自愈
(夫れ嘔家、癰膿あるは、嘔を治すべからず、膿盡くれば自ら愈ゆ)

※嘔家 吐く癖のある人

先嘔却渴者 此為欲解 先渴却嘔者 為水停心下 此屬飲家
(先に嘔して却て渴する者は、此れ解さんと欲すと為す。先に渴して却て嘔する者は水、心下に停るとなす。此れ、飲家に属す)

※吐いてから咽が渇くのも、渇いてから吐くのも水毒が溜まっていて、同じ五苓散の証でないかと大塚先生は述べています。

嘔家本渴 今反不渴者 以心下有支飲故也 此屬支飲
(嘔家、本渴し、今反って渴せざる者は、心下に支飲有るを以ての故なり。此れ支飲に属す)

※支飲 胃内停水

問曰 病人脈數 數為熱 當消穀引食 而反吐者何也
(問うて曰く、病人の脈數、數を熱と為す。當に穀を消し、食を引くべし。而も反って吐する者は何ぞや)
師曰 以發其汗 令陽微 膈氣虛 脈乃數
(師の曰く、其の汗を發して陽を微ならしめ、膈氣虛するを以て、脈乃ち數なり)
數為客熱 不能消穀 胃中虛冷故也
(數を客熱と為す。穀を消す能わず、胃中虛冷なるが故なり)
脈弦者虛也 胃氣無餘 朝食暮吐 變為胃反
(脈弦の者は虛なり。胃氣餘なし。朝に食して暮に吐し、變じて胃反と為る)
寒在於上 醫反下之 今脈反弦 故名曰虛
(寒上に在るに、醫反って之を下し、今、脈反って弦なり。故に名づけて虛と曰う)

※膈氣 胸から腹にかけての働き
※客熱 脈が数で虚脈。疲労や消耗が激しいときに足の裏や手のひらが火照ったりする。

寸口脈微而數 微則無氣 無氣則榮虛 榮虛則血不足 血不足則胸中冷
(寸口の脈、微にして數、微なれば則ち氣なし。氣、無ければ則ち榮虛す。榮虛すれば則ち血不足す。血不足すれば則ち胸中冷ゆ)
趺陽脈浮而濇 浮則為虛 虛則傷脾 脾傷則不磨
(趺陽の脈、浮にして濇、浮は則ち虛となす。虛すれば則ち脾をやぶる。脾傷らるれば則ち磨せず)
朝食暮吐 暮食朝吐 宿穀不化 名曰胃反 脈緊而濇 其病難治
(朝に食して暮に吐く、暮に食して朝に吐く、宿穀化さざるを名づけて胃反と曰う。脈緊にして濇なるは其の病、治し難し)

※趺陽の脈 足背動脈の拍動とすると、厥陰肝経の太衝になるが、話の流れからすると陽明胃経の衝陽と考えたいところ。解釈の難しいところです。



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