きょうの金匱要略 12/28 嘔吐噦下利病脈證治 第十七(7)
下利三部脈皆平 按之心下堅者 急下之 宜大承気湯
(下利、三部の脈、皆平、之を按じて心下堅の者は急に之を下せ、大承気湯に宜し)
※下痢をしているけれど、三部の脈(寸口、関上、尺中)が通常状態でありながら、腹部が固い(心下堅)場合は下痢であっても下剤をかけるケースがあるということが述べられています。
下利脈遲而滑者實也 利未欲止 急下之 宜大承氣湯
(下利、脈遲にして滑の者は實なり。利いまだ止むを欲せず、急に之を下せ。大承氣湯に宜し)
※脈の滑は内に物が詰まっている、つまり裏が実していることを示すとしています。
下利脈反滑者 當有所去 下乃愈 宜大承氣湯
(下利して脈反って滑なる者は當に去る所あるべし、下せば乃ち愈ゆ。大承氣湯に宜し)
下利已差 至其年月日時復發者 以病不盡故也 當下之 宜大承氣湯
(下利已に差え、其の年月日時に至って復た發する者は、病盡きざるを以ての故なり。當に之を下すべし。大承氣湯に宜し)
大承氣湯方(見痙病中)
下利譫語者 有燥屎也 小承氣湯主之
(下利、譫語の者は燥屎あるなり。小承氣湯之を主る)
小承氣湯方
大黃四兩
厚朴二兩 炙
枳實大者三枚 炙
右三味 以水四升 煮取一升二合 去滓 分溫二服 得利則止
※譫語 うわごと
※燥屎 大便の固まり
下利便膿血者 桃花湯主之
(下利して膿血を便する者は、桃花湯之を主る)
桃花湯方
赤石脂一升 一半剉 一半篩末
乾姜一兩
粳米一升
右三味 以水七升 煮米令熟 去滓 溫七合 內赤石脂末方寸匕 日三服
若一服愈 餘勿服
(若し一服にして愈ゆれば、餘は服するなかれ)
※和田東郭の『先哲医話』に桃花湯の用い方の記述があるそうです。大塚先生は実際自分で使ってみたところ、気持ちが悪くなって食事ができなくなってしまったそうです。
熱利重下者 白頭翁湯主之
白頭翁湯
白頭翁二兩
黃連 黃柏 秦皮各三兩
右四味 以水七升 煮取二升 去滓 溫服一升 不愈更服
※江戸時代の処方集として有名な『衆方規矩』や『古今方彙』でも紹介されている処方。日本では秦皮をトネリコで代用しているとか。