A07. 国ごとの”世界観”が仕事の進め方に影響を及ぼす件
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アメリカ人が持つ”世界観”
自分が接してきた多くのアメリカ人はキリスト教を信仰していました。街にはたくさんの教会がありました。彼らの日常生活にはキリスト教が根付いています。
彼らの考え方、というか彼らの持っている世界観は大体次のような感じです。「唯一絶対である神を信じましょう。人間は不完全であることを認識しましょう。人間は完璧にはなれません」
彼らと一緒に仕事を進めてきて感じたことは、「完全・完璧になることは絶対にできない。であるならば、自分のできることにベストを尽くして今日よりも明日、明日よりも明後日を少しでも良いものにしましょう」ということです。
日本人が持つ”世界観”
それに対して、日本人が持っている世界観は概ね次のような感じです。「日本はこれまで永い年月に亘り天皇を中心として調和を保ってきた。ここには完全に調和の取れた世界がある。この調和が取れた世界から外れた事象は何かしらの調整を行い、新たな調和を目指しましょう」
ここでのポイントは日本が日本全体として渾然一体となっていて、日本全体として調和の取れた状態に自ずと向かっていっているところです。
つまり、完全に調和された状態が日本が望むところであり、それに向かってほぼ自動的にみんなが動いている、ということです。
それぞれの世界観が仕事の進め方に与える影響
アメリカの場合は、人間が完全ではないことを前提としているため、何かの商品やサービスをリリースする際に、品質の完成度100%を目指しません。なぜなら、それが不可能であることを認識しているからです。
筆者の感覚で言えば、彼らは大体90%ぐらいの品質で商品やサービスをリリースします。そして、それを常に改善していきます。現状に対して、未来のあるべき姿を描きながら、そして”完全になることは絶対にないこと”を認識しながらその理想状態に向かって常に改善を行っています。
この考え方は、実はソフトウェア開発と相性がよいです。ソフトウェア開発の場合、サービスリリース後の改善はソフトウェアアップデートという形でインターネットを通じて、低コスト(コストはほぼゼロ)で常に更新を続けていくことができます。
しかし、ハードウェア開発の場合は商品やサービスをリリースした後は、それの品質を改善するのには必ずコストが発生します。例えば自動車の部品に欠陥があった場合には、その対策をお客様さまに届けるために莫大なコストがかかるでしょう。
だからこそ、ハードウェアの開発はリリース時点から完璧を目指さなければならないのです。そこにはビジネス上の合理性があるわけです。
そのため日本はハードウェア開発に向いているのです。商品リリースの際に万難を排して品質の確認を行い、できるだけ完全に調和の取れた状態とします。
筆者の感覚で言えば、日本の品質基準は大体99%ぐらいの完成度を目指しています。ここまでしないと商品リリース後の改善に莫大なコストが発生してしまうからです。
まとめ
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