A05. 日本人が「英会話を苦手」と感じている理由
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日本では中学・高校の6年間みっちり英語を勉強したにもかかわらず、ほとんどの方が、外国人との英会話を苦手と感じていらっしゃるではないでしょうか。
世間には、英会話のノウハウや英会話レッスンの案内が溢れていますが、それで「万事うまくいった」、という話をあまり聞いたことがありません。
しかし、ご安心ください。
日本人であるあなたが「英語を苦手」と感じている、、、それは、あなたの努力が足りないからではありません。あなたの勉強方法が悪いからではありません。あなた個人の力量や能力のせいではありません。
それは、あなた個人の問題ではありません。それは、あなた個人というよりも、文化全体といったレベルです。
だから、日本人であるあなたが英会話を上手にできないからと言って、
決して自分を責めないでください。
決して自分を卑下しないでください。
決して恥ずかしがらないでください。
結論から先に申し上げますと、日本人が「英会話を苦手」と感じているのには、”コンテクスト”と呼ばれるものが大きく関係してきます。これを少し言い換えると、この”コンテクスト”の度合いが、国ごとに大きく異なっているため、日本人が「英会話が苦手」と感じているのです。
それでは、この”コンテクスト”と”日本人が「英会話が苦手」と感じている理由”の関係について詳しくみていきましょう。
各国ごとの”コンテクスト”度合いの比較
まず、”コンテクスト”とはなんでしょうか?Wikipediaにはこうあります。以下、Wikipediaからの引用です。
コンテクストとは、メッセージ(例えば1つの文)の意味、メッセージとメッセージの関係、言語が発せられた場所や時代の社会環境、言語伝達に関連するあらゆる知覚を意味し、コミュニケーションの場で使用される言葉や表現を定義付ける背景や状況そのものを指す。
つまり、(これをすごく要約すると)コンテクストとは、言語に頼らないコミュニケーション、といえます。
このコンテクストが高い状態はハイコンテクストと呼ばれます。これはコミュニケーションを取る際、自分と相手の価値観や置かれた環境などが互いに近しくなっている状態です。
この状態では、言語に頼らなくても、自分の言いたいことが相手に伝わりやすくなります。日本では「以心伝心」とか言いますね。または「忖度」というのもありますね。
そして、日本は他の国と比べて、最もハイコンテクストな状態でコミュニケーションを取る国なのです。(国ごとの比較は、あおけんさんの以下のnoteを参考にさせていただきました。あおけんさん、ありがとうございました!)
つまり、日本人が日本で暮らしていると、極端な言い方をすると、言葉を使わなくてもコミュニケーションを取ることができてしまうのです。
これなんです。これが日本が他の国と比べて際立っているところなのです。繰り返します。
日本人が日本で暮らしていると、言葉を使わなくてもコミュニケーションを取ることができてしまうのです。
結論。日本人が「英会話を苦手」と感じている理由
あるとき、ふと思いました。「あれ、俺って英語で話している時の方がよく喋っているよな。日本に居たときはこんなに話してなかったよな。ん?」
何も、ここで自分が「俺って英語ができるぜ!すごいだろう!」と自慢したいわけではありません。
ここで言いたいのは、アメリカなどに行くと、そこはローコンテキストな文化のため、言葉を使って自分の価値観や自分が置かれた環境などを補わないと、どう頑張っても相手とコミュニケーションを取ることができない、ということです。
そのため、アメリカではできるだけクリアにはっきりと具体的に物事を伝えるようになります。、例えば次のようなことです。「私は毎朝アパートの周りをウォーキングをします。I walk around my apartment every morning.」
これは簡単な文章のようですが、読み過ごしてはならないのは、この短い文章の中にはっきりと、主語、動詞、目的語が順序どおりに並べられていることです。
アメリカでは、というよりも英語では、このうちどれが抜けても文章が成立しませんし、これらの順序を入れ替えることもできません。ですので、英語を話すときは自ずとこれらを全て抜けもれなく順序通りに相手に伝えることになります。
しかし、日本においては、例えばこの文章から「私は」が抜けたとしても、「あー、この人は、自分のことを言っているのだな」と大体推察できますし、主語、動詞、目的語の順序がばらばらでも、前後の文脈からその意図を読み取ることができます。
つまり、日本人が日本で暮らしていると、言葉を使わなくても問題なくなんとなく暮らしていけるため、日本語が正確でなくてもよいのです。そのため、日本語の文法や語順にそこまで注意を払わなくなってしまうのです。
このことこそが、日本人が英語を話すときに、「英会話が苦手である」と感じる最大の原因なのです。これを少し言い換えると、日本人が”文法や語順に注意をしなければならない”英語を話すことが苦手である、となります。
これをさらにもっと噛み砕いて言うと、日本人は日本語を話す時でさえも、文法や語順を注意しなければならなくなると、日本語が苦手と感じる、となるでしょう。
そうなんです。日本人は、そのハイコンテクストによって普段から文法や語順を気にしないことに慣れているため、それをローコンテクストにしたときは、たとえ日本語であってもそれを苦手と感じることとなります。
つまり、日本人が英会話を苦手と感じる理由は、そのコンテクストの度合いの違いにあったのです。
だから、いくら英単語を覚えて語彙を増やそうとも、いくらTOEICで高得点を取ろうとも、このコンテクストの国ごとの違いまでは乗り越えられないので、いつまで経っても日本人は英会話を苦手と感じてしまうのです。
対策。英会話を臆せず行うために必要なこと。
じゃあ、どうすれば良いか。どうすれば、臆せず英会話をこなせるか。
ここからが最も重要なところです。
私からできるアドバイス。それは「あきらめること」。
これまでのとおり、日本人が英会話を苦手と感じてしまうのは、個人の問題ではありません。もう、それは国ごとの文化の問題なのです。これを個人の努力で乗り越えるのは無理です。
そう思って、むしろそこを「あきらめる」のです。割り切るのです。「ああ、これは俺がどう頑張っても乗り越えられない大きな課題なんだ。だとすれば、もう英単語の暗記やTOEICの勉強なんかいくらやっても同じだ。むしろこれからは、英会話ができない前提でアメリカ人と話そう。多少単語がおかしくても、多少発音が変でもかまわないや。だって、それは俺がどうこうできる問題でもないのだから」という感じです。
私の実体験を申し上げます。私はこの「あきらめ」の境地に至るまでにけっこう時間がかかっていました。しかし、いったんこのことを理解してからは、逆にどんどんとアメリカ人と話すことができるようになってきました。
そうすると、どんどん英会話が上達していきました。
しかし、それでもネイティブイングリッシュスピーカーのレベルにはなりませんけどね。いやむしろこれは何十年かかっても、無理でしょう。絶対に日本語のアクセントが抜けることはないでしょう。だけど、それでいいんです。アクセントが残っていてもいいんです。このあきらめ。これが大事なんです。
まとめ。
この記事が少しでもあなたのお役に立てられれば幸いです。
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