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いつ使ったらええねん
Denaの南場オーナーは仕事でAIをフル活用しているらしく、そのルーティンがXでバズっている。なんでも、彼女は人に会う前はタクシーの中でその人の情報を効率良く吸収するのだという。まず、対象者に関する記事をPerplextyにリストアップしてもらう。そしてそのURLの数々をNotebooklmに読み込ませる。そこで大体のことは分かるようになるが、Notebooklmとチャットをしながらさらに掘り下げていく。目的地に着く頃には完璧に対象者のことが頭に入っているので、いろいろと質問ができる。お相手はさぞ気持ちのいいことだろう。
南部オーナーはプロ野球チームのオーナーでありながら、球団の方針には一切口を出さないことで有名だ。それでいて日本一に(首位と8ゲーム差だけど)導いたのだから、球団側からしてみれば理想的なオーナーといえるだろう。動かぬが勝ちを体現している人だ。
ポケポケのおかげもあって業績も絶好調。株価はうなぎのぼりだ。そんな大成功を収めている社長が世間の流行りに食らいつき、新しいものを貪欲に取り入れる姿勢は尊敬せずにいられない。よしここは僕も見習ってAIをフル活用で仕事をするのだ!
しかし困った。使う場面がないのだ。南場さんで言うところの「対象者」が僕にはいない。つまりあれは猫の手も借りたい状況の人向けなのである。残念ながら僕は例外だ。
同じような経験がみなさんにもあると思う。仕事効率化!とかスケジュール管理法!!みたいなYouTubeや本が世間には溢れているが、効率化させるほど自分の人生が忙しくないことに後から気づく。やってること自体はスタイリッシュでカッコいいし真似したくなるが「僕がこれを取り入れて一体何になると言うのだろう」という気持ちが勝ってしまう。
chatGPTやperplextyをはじめとするAIチャットは確かに便利だ。前にも書いたが、僕はperplextyがないと仕事ができない。
それでも何か調べる場面においては、その過程が楽しかったりする。例えば僕が亀甲縛りの歴史について調べたいとしよう。チャットに聞けばすぐに教えてくれるだろう。まず亀甲縛りとは何なのか?亀甲縛りのパイオニアは誰なのか?世界の亀甲縛りは?しかしそれらはあくまでネットに落ちている情報止まりで、伝えているのはあくまで概要に過ぎない。深いところまでたどり着けないから、ゾクゾクするような楽しさはない。
亀甲縛りについて書かれた本ならばどうだろう。具体的なエピソードが得られ、AIのそれとは情報の深みがより濃いのではないか。たしかに時間はかかるが、このインスタント社会において深みは武器になる。これからの時代を柔軟に生きるためにはデータを頭に入れるのでなく、いかに多くの「エピソード」を知っておくかだと思う。データはどこからでも引っ張り出せるようになったが、具体を語るためには深みが必要だ。本だけにかぎらず、実際に亀甲縛りをやってみるのもいいだろう。具体と経験が、この大戦国AI時代に人間代表として生きていくキーテーマだ。
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