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眠らせるカスハラ対策

今年は、毎日ではないが「その日に気になったこと」をほぼ日手帳カズン版1ページ分書いてまとめる、ということをやっている。例えば英検のリーディング問題を解いている時は北センチネル島の話題、Netflixのドキュメントからは「双子の食生活を変えるとどんな変化が起こるのか」のサマリーなど、興味のタネは尽きない。

その日も、例によってノートに書く作業を近所の図書館でやっていたのだが何やら館内が慌ただしい。利用者が職員に怒っているようだ。しかも職員1に対して利用者は2。2人がかりで大声でクレームを唱えている。どうやら以前よりシステムについての改善を求めているにも関わらず、一向に変わらない体制に怒っているようだ。僕は、図書館なんだから、無料で借りれるだけありがたいと思え!と思っちゃう派だ。あまりに司書の方が不憫だったので、応戦して2vs2の構図を作ってやろうかと思ったが、どこからともなく女性職員がやってきて、利用者様を諭し始める。

その女性職員は「ああ、こんにちは。へへへ。なんかすいませんねえ」みたいな、井戸端会議に途中参加するおばちゃんの如く入ってきて、もうその時点で空気はかなり和らいだ。
状況を整理するおばちゃん。利用者様の怒りを一通り聞く。言わせるだけ言わせた後、ゆっくり口を開き、静かにシステムの説明をし始めた。その説明は優しく諭すような感じだったが、とにかく長い。マジで長い。何かの契約書を読み上げるように、ツラツラと淡々とシステムを説明し続ける女性職員。淀みがない。誠意だけは伝わってくるが、何も頭に入ってこない。威勢のよかった利用者様も戦意喪失という感じですすっかり勢いをなくし、最後には笑って解散していた。

魔法だ。おそらくあれは故意的に淡々長々作戦で話していた。ああいうタイプのお客様に対しては自分がイニシアティブを取ってしまえばいいことを知っていたとしか思えない。彼女は今までこのようにして図書館を護ってきたのだ。

高校の時、家庭科のコレヤス先生が同様の魔術の使い手であった。今日は絶対に真剣に聞こう!と意気込んでも眠ってしまう。コレヤス先生も一定のリズムで淡々と話すタイプだった。モンスターペアレントの処理は抜群だったに違いない。

ということで今日の「気になったことノート」はスムーズなクレーム対処の仕方だな。

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松本拓郎
サポートしていただいたお金を使って何かしら体験し、ここに書きたいと思います。