【読書】プロジェクト・ヘイル・メアリー感想

久しぶりにSFを一気読みしたような気がする。
アンディ・ウィーアー「プロジェクト・ヘイル・メアリー」がとても面白かった。

内容については何を語ってもネタバレになってしまうので書かないようにする。内容以外におすすめポイントがあって、まず語り口のとても軽い。SFって読みなれない人からするとかなりとっつきづらいと思うんですが、この本は文体がすごく軽く書かれています。話し言葉も多いし、軽妙にお話が進んでいくのでかなりのスピードで読める。もちろんSFなので難しい単語とか計算とかそういったものも出てくるには出てきますが、その辺は読み飛ばしても大丈夫。この本の面白さは十分味わえます。
話飛びますが、僕は本を読んでいるときに「ここ面白くないな」と思うと結構読み飛ばします。読み飛ばして、後々よくわからなくなったら戻って読み直したりするんですが、これあんまりやってる人いないんですかね?以前友人と話しているときにこの話をしたら驚かれ、その友人は絶対に読み飛ばさず進めるそうです。でもその結果途中で読まなくなってしまうこともあるそうなので、僕が本を読み終われるのは飛ばし読みするからなのかな、と思ったりしてます。

もうひとつの面白さは「無駄な障害がでてこないこと」。これは説明が難しいんですが、本に限らず物語を見ているときにやたら障害が発生するとしんどくなってしまうんです。先日「デンデラ」という映画を見たんですが、僕としてはイマイチでした。なぜかというと主人公たちの目的を達成する前に次から次へと障害が襲い掛かってきてぜんぜん話が進まない。障害があるのはいいんですが話を進めてくれよ!となってしまう。
プロジェクト・ヘイル・メアリーはその名の通り壮大なプロジェクトに関するお話なんですが、主人公の行動が結構うまくいく。どんどんお話が進んでいく。何かやろうとしたら障害、実験をしようとしたら問題、というような展開ではなく、はい成功!次、はい成功!次……みたいに、うまくいかないことでドラマを生むんじゃなくてお話を転がすことでドラマを生んでいる。ここがとても気持ちよかったです。

なんでも演劇に絡めてしまって恐縮ですが、以前の記事で触れているYes,andという概念はまさにこれで、とにかくお話が転がっていく面白さを体験できるんですが、このプロジェクト・ヘイル・メアリーはYes,and小説といってもいいかもしれない。主人公たちはどんどん現れる新しい展開に挑み続け、ポジティブに進んでいきます。上記の文体の軽さも相まってとても気持ちよく読めると思います。
とてもオススメ!


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