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「小さな民間図書館の館長になる旅」の記録。

はじめに

旅するような感覚で憧れの仕事を体験するサービス「仕事旅行」を知っていますか。今回、ふとしたことで見つけた「小さな民間図書館の館長になる旅」に参加してきたので記録しておこうと思います。

千葉県いすみ市の納屋を改装して作られた図書館。

なぜ「図書館の館長になる旅」を選んだのか

図書館が好き

週末どちらかは必ず図書館に行く。そんな生活が4年ほど続いています。図書館に通うようになって読む本の幅が、ぐっと広がりました。また図書館で「店主の本棚」という企画・運営したり、その縁で館長さんとお話しする機会ができたり、図書館関連の本を読み始めたり、図書館という新たな世界を探索中です。

星空の小さな図書館が気になる

「星空の小さな図書館」はホストの三星千絵さんが個人で設立・運営されている私設図書館です。もとは東京都内で働いていた三星さんは2011年には千葉県いすみ市へ移住し、古民家でのシェアハウスや図書館などを立ち上げているとのこと。その原動力はどこから来るのか、なぜ図書館を開かれたのか、聞いてみたいと思います。

いすみ市が気になる

千葉県出身、千葉県在住の私。が、いすみ市に行ったこともなければ、名前を意識するのも今回が初めてでした。サイトを見ると「山の幸と海の幸との出会いがいすみの食文化の魅力」とありました。何か美味しいもの食べられるといいな…。

体験したこと

オリエンテーション

図書館を始めるまでの経緯など、お話を聞きました。次から次へと印象的なお話が続くので「メモしていいですか?」と尋ねたくらいです。三星さんは、自分の体験や当時の気持ちを、一つ一つ丁寧に、そして飾らない言葉で表現してくださいました。特に印象的だった言葉は、後ほどまとめたいと思います。

マルシェでランチ

お話を聞いているとあっという間にお昼の時間に。ランチは図書館から車で少し移動した大多喜ハーブガーデンで開催中の「集マルシェ」に向かいました。いすみ市では毎週のように各地でイベントが開かれているとのこと。集マルシェには、その名の通り様々なブースが設置されていました。フードはもちろん、手作りの雑貨や植物などなど。三星さんは様々な方から声をかけられており、このような場が交流や情報交換の場として機能しているのだと感じました。私はかっつぁんおにぎりで、地元の「いすみ米」をで作られたおにぎりを購入。お米の美味しさを感じられるおにぎりでした。

開館準備・職場体験

開館準備は3つ。まずは床の掃除です。ほうきと塵取りで図書館内を綺麗にします。次に、表の通りにある看板の立てかけ。そして最後に、練炭の準備です。納屋を改装して作られた図書館は、この時期かなり寒くなるので、練炭を使って暖をとっているとのこと。私は恥ずかしながら「練炭」を初めて見たのですが、着火剤に火をつけてしばらく放置することで嫌な臭いを飛ばすことなどを学びました。

以上の準備が済むと、あとは来館者を待つのみです。私が滞在した時間内には、3組の来館者がありました。そのうち一人の方は、自宅で不要になった本を図書館に寄贈してくださる方でした。また、郵送で他県から段ボールに詰め込まれた本が届いていました。

届いた本の開封

他県から段ボールで届いた本。中身が気になったので三星さんにお願いして開けさせてもらいました。「この瞬間が楽しみなんですよね」とおっしゃる三星さん。「本は人を表す」そうです。今回のダンボールの中身は、料理本、そして歌舞伎に関する本が多く入っていました。

光が差し込む読書スペース。

印象的だった言葉

「旬を紹介する仕事なのに、旬の野菜が分からなかった」

表参道にあるPR会社で仕事をされていた三星さん。「世の中のトレンドをいち早くキャッチし発信する」そんな多忙な日々を送る中で、少しずつ違和感を覚えるようになったそうです。季節の変わり目がメディアから感じられない、旬の野菜が分からない。改めて暮らし方・生き方を見直すことが、最終的には、いすみ市への移住とつながります。

(私もPRと近しい広告の仕事を長くしていたので、近しいことは感じたことがある。素敵なライフスタイルを世の中に発信しているけれど、自分の生活は…みたいな。そんな仕事中心の暮らしがコロナや在宅ワークをきっかけに少しづつ変化している。地元の店に目が向いたり、地域の人とのつながりが増えたり)

「図書館は、理解されやすい」

2011年に移住した三星さんは、翌年にシェアハウスを立ち上げます。しかしシェアハウスとはなにか、それを地元の方に理解してもらったり、入居者を集めるには、それなりの時間がかかったそうです。それに比べると、図書館は、誰にでも理解されやすいとのこと。昔からどこの地域にもある図書館は、老若男女誰もが安心して訪れることのできる場所なのでしょう。

(誰にでも扉が開かれている、というのが図書館の魅力だと思う。私が毎週末通う図書館にも、小さな子ども連れの親子から、小・中・高校生、大学生、30代、40代、50代、60代、70代、80代…。あらゆる世代の人がいる。そんな施設って、他になかなかないのでは)

「本によって、生かされる場所が違う」

三星さんは図書館の運営に加え、古本市での販売やネットを通じた販売をされています。集まった本を見ながら「これは最近のベストセラーだから図書館よりも古本市の方がいいかな」「これは専門書で検索している人がいる本だからネット販売で」など本の特性を踏まえて場所を選定していました。

(図書館に来る人、古本市に来る人、そしてネットで本を探している人は、それぞれ目的が異なる。だからこそ、それぞれにあるべき本も違う。言われてみると、確かに。三星さんから
聞くまで、あまり考えたことがなかった視点で学び)

オリジナルの読書記録しおり。図書館のカードとともに、こだわりのオリジナルデザイン。

最後に

図書館という場の面白さを、改めて感じられる旅でした。公の図書館だけでなく、私設図書館も興味が出てきました。

図書館で、図書館に関する本を借りる、そんな日々が続きそうな気がします。

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