「科学的トレーニング」「エビデンス」ってなに?
トレーニングの現場で、「科学的トレーニング」という言葉をよく耳にするようになった。
一般の人でも、「科学的」とつけられると
なんかすごい効果がありそう!
最先端で画期的な!
というイメージを持つ人も多いのではないだろうか。
(今までのウエイトトレーニングが原始的ということか…)
だが、ちょっと待ってほしい。
そもそも、科学的トレーニングとはどのようなものなのだろうか。
エビデンスに基づいた指導
最近、特に重要視されてきているのが “ エビデンス(科学的根拠)”。
競技スキルの解析やコンディション管理だけでなく
フィジカルトレーニングについてもエビデンスに基づいて行うべきだという傾向にある。
科学的トレーニングとは、簡単に言えば
「研究などによって検証した結果、効果があると証明されたトレーニング」ということ。
例えば、あるトレーニング方法を実施したところ
選手の競技パフォーマンス・成績が向上したとする。
そのトレーニング方法によって効果があったのか、
また、その選手だけでなく、多くの人にとって効果がでるのかどうかが検証されるわけだ。
なぜなら、たまたま一部の選手だけに効果が現れたのかもしれないからだ。
実際に有名選手が取り組んでいるということで、一般の人たちにも広まった特殊なトレーニング方法は沢山ある。「一流選手が取り入れているから」とか「流行っているから」という情報に惑わされてしまうと、そのような情報に跳びついてしまいがちだが、本当にあなたに効果が現れるかはわからない。
確実なトレーニング効果を求めるためには、エビデンスで確立しているトレーニング方法のほうがいい!ということなのだ。
科学的トレーニングのメリット
科学的トレーニングのメリットは、客観的データでプログラム処方ができるということ。
たとえば、選手が「疲れている」「疲労感はない」と感じていたとしても、心拍数の状態や血液測定の数値などによって主観的とは違うデータが示される場合がある。科学を使うことで、客観的なデータをもとにコンディション管理を行うことができ、それに合わせてトレーニングを調整することができることは大きなメリットだろう。
しかし、この科学的トレーニングという言葉は、非常に難しい側面も持っている。
●最新機器を使えば科学的トレーニングになるわけではない
科学的トレーニングとして、最新機器や精密機械を使いアスリートの様々データを測定・分析しパフォーマンスを高めるものがある。
指導現場でよく使われる測定内容としては、バイオキネティックなどの筋測定器や乳酸測定器、心拍数を測定するハートレーターモニター、試合中の様々なデータ(トラッキングデータ)など様々なものがある。最近では様々なスポーツチームでこのようなデータが重要視されており、日々のコンディショニング管理に活用されている。
実際に、Jリーガーが胸に不思議なバンドなどをつけてトレーニングしているのを見たことがある人もいるのではないだろうか。
それらのデータを活用すれば、選手の状態を細かく評価でき、トレーニングのプログラム作成はやりやすくなる。しかし、プログラムを立てる“指導者”に活用するだけの知識がなければ、そのデータも意味をなさない可能性が高くなってしまうのだ。
これからのトレーニング
今後、科学的なデータを活用したトレーニングプログラムは必要不可欠になってくるだろう。そう感じている。
しかし、だからといって基本的なウエイトトレーニングが必要なくなるかといえば、そんなことは絶対にない。ウエイトトレーニングだって、科学的に効果のある最も歴史の長いトレーニング方法だからだ。決して原始的ではない。
プログラムを作るうえで科学的なデータを活用しつつ
基本的なウエイトトレーニングを適切に処方する。
また、処方したトレーニングの結果をもとに、それを修正しさらに良いものをアスリートに提供できるように科学的なデータを活用するというサイクルを指導者がしっかり考えて行うものだとも言えるだろう。
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