『十角館の殺人』が面白かったよ。
衝撃の一行。
あらすじ
感想
「ミステリ おすすめ」で検索してどこを見ても目にするこの一冊。実は読んだことがなかった。読後感はアガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』に近い。まあ多分にオマージュを盛り込んでいることもあるのだが。
「一文で世界が変わる」という触れ込みで宣伝されがちな一冊。恐らくこの一文だろうというのは分かった。ええ騙されましたよ。騙されたというか納得したというか。叙述トリックというやつだ。『○○館の殺人』という作品が異様に多いのは、これに魅せられた作家がその分いることを示している。
読者をその場に引き込むような文章は見事だ。さながら人狼ゲームをしているようなドキドキ。綾辻幸人さんの作品は初めて読んだのだが、意外に癖のない文章で読みやすかった。あえて難しい漢字を選ぶ中二心にもわくわくした。多分映像化したら面白くならないと思う。文字から沸き立つ想像力が面白くさせ、そして勘違いを引き起こさせる。
ただ、一方でつくづく自分は「動機」というものに興味がないのだなと感じた。森博嗣に慣れ親しんでいるせいだろうか。
初めてミステリというか探偵小説にハマったのは江戸川乱歩の『怪人二十面相シリーズ』からだったかなあ。朧気ながらも覚えているのは二十面相の必死さだ。なんとなく滑稽で面白かった。だから今回も犯人の独白のシーンが一番興奮した。
余談
この小説から kindle に切り替えた。本で部屋が埋まりそうなのと電子書籍への単純な興味だ。「えいやっ」と kindle paperwhite をポチってしまった。深夜の物欲と思い切りは恐ろしい。
結果、自分には合っていたようだ。紙と電子書籍を比較したときに言われがちな「記憶の定着は紙が圧倒的」という論も、そもそも紙でも読み終わると内容をすぐに忘れるためあまり関係ない。その備忘録としてこの note があるわけで。スマホのようにほかのコンテンツに興味が行くこともないので一瞬で読めてしまった。これは自分の中で小さな革命が起きているかもしれない。食わず嫌いはよくないね。
さて次は何を読もう。ミステリが続いたからSFかな。うーんタブレットでSFってなんか未来的でいいかも。