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【25】さっきよりも甘ちゃん

「優しすぎるんだよ!お前は!」

と中学校の頃のバスケ部の顧問の先生に怒鳴られたことがある。僕にはそれが何を指しているのかわからなかったけれど、背が高くてゴール下のポジションなのに、相手に当たりにいかない僕のプレースタイルが良くないと思っていたのかなぁと今は思う。

僕は自分で自分を優しいだなんてあまり思わないけど、なんで自分でもこんな甘ちゃんなことやってしまうんだろうと思うときがある。

昔から人より前に立つことが多かった気がする。小学校・中学校では学級委員をやって、大学では学生NGOの代表、今はクラファンなんてやっている。

だから、自分の呼びかけにいくら人が反応してくれないのかもわかる。でも、これは呼びかけられた人のせいではなくて、呼びかける方の創意工夫が足りていないからだと思っている。人それぞれの人生があって、他人に割ける時間なんて限られている。

「アンケートをお願いします」「ティッシュどうぞ」「俺のとこの敷地に空きがあるから学校を建ててくれ」「お腹が空いたからお金をくれ」「居酒屋いかがですか」

物事の大小はあれど、僕はこんなお願いをたくさんお断りしてきた。もちろんキャパ的に学校建てるなんて相当の労力をかけないとできないので、このへんはよく言われるけど断る。大抵の場合相手は僕が何を言っても聞かないので、嫌な気持ちになる。

でも、自分が引き受けられる範囲のことはすべて引き受けるように僕はもう、なってしまったらしい。無視されて悲しいのは僕もよくわかるから。

呼びかける方の工夫が足りないとは僕も思っているけど、そう思ってきた時間と経験してきた場面が多いからこそ、無視されたり、断られたときの悲しさがわかってしまう。

だからほっとけばいいのにほっとけない。自分にそんな余裕はないと思っているときでも、そのままにしておけない。

この間、クラファンの告知をしたら、同じように大学生でクラファンを始めるという人にはじめてnoteでコメントをもらって、応援してもらった。嬉しかった。昨日、その人のクラファンのページを覗いてみたらまだ目標まで遠かった。僕にはお金がない。親から毎月仕送りをもらっているのと、noteでもらうサポートくらい。それもここでの活動費に消えていく。

でも、応援してくれたし、この人もきっとクラファンの広報を頑張っているんだと思ったらなんだかほっておけなくて、よせばいいのに支援してしまっていた。自分でも何やってるんだろうと思う。

学生NGOに入っていて僕が代表になる前の頃、「この仕事やってくれる人ー」と呼びかけてしーん...となる時間が嫌だった。呼びかけた人はきっと辛いだろうし、みんなの時間が無駄になる。だからよく手を上げるほうだったと思う。そんな性格だから、ただでさえやることは溜まっていたのに、そんなんだからやることはまた溜まっていった。よせばいいのに。

これを優しさと呼ぶのなら、中学の頃の顧問の先生の言葉がひどく染みてくる。優しすぎるんだよ、お前は。

こんなことここで言うのもあれだけど、noteだから。僕は学費も下宿費も返還奨学金で借りていて、卒業する頃には600万くらいにはなるだろうか。公立通いなのに異様な額だとは自分でも思う。正直将来に頭を抱えることが多々ある。返すのに何年かかるだろうと嫌な気持ちになることもたくさんある。大学院にも行きたいし、やりたいことなんていっぱいある。できることなら早く返してしまって楽になりたい。

この島にかけるお金を、労力を、自分の負債の返済に使ってしまえばいいのに。何をやってるんだろうと、疲れて心が弱ってしまうたびに何回も思った。でも、後先考えずにいつも動いてしまっているから、もうどうしようもない。

いろんなところに行くたびに、いろんなことを経験して、いろんな辛さを味わうから、その辛さがわかった気になってさっきよりも甘ちゃんになってしまう。

優しすぎるんだよ、お前は。そうかもしれないけど、でも先生、そんな自分が不思議と嫌いになれないんです。

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僕の住んでいる島は、HIV罹患率が非常に高いため、HIVテスト受診促進のためのプロジェクトと、学校に介入して性教育や、HIV/AIDSの授業を行うことで、若者のHIV感染を防ぐことを目的としています。詳細は下記のリンクから!もしよければ、SNSや周りの友人・家族にも共有していただけると嬉しいです。


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熊谷拓己
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