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妹 No.2381


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「 お姉ちゃんなんだから、がまんしなさい。」

まい日まい日、がまんする。

妹のために、がまんする。

楽しみにしていたおやつも、お気に入りの人形も、妹のためにがまんする。

わたしは、妹がうらやましい。


夏休み、妹が高ねつを出した。

その日は、お父さんといとこたちと、あそびにでかけるやくそくをしていた。

「 あたまがいたい。いたい。」

ねこむ妹をおいて、わたしはお父さんと、出かけることにした。

つらそうにねている妹を、おいて出かけるのはかわいそうだけど、

お父さんとあそびに出かけたい気持ちの方が大きかった。

妹がいない時間、わたしはお父さんをひとりじめできた。

妹がいないと、

「 お姉ちゃんなんだからがまんしなさい。」

と、言われない。

おいしいおやつも、人形も本も、全部わたしのもの。

お父さんのだっこも、わたしだけのもの。

わたしはうれしくて、うれしくて、家で待つ妹のことを、すっかりわすれていた。

楽しくて、楽しくて、はしゃいで帰ると、妹が泣いて待っていた。

「 あたまがいたくて泣いているの?」

わたしが聞いても、妹は何もこたえなかった。


何日かして、わたしも高ねつが出た。あたまがいたく、体もだるかった。

妹はすっかり元気になっていた。

「どこか出かけるか?」

お父さんが妹に聞いた。わたしは、かなしくなった。

お父さんとあそびに出かける妹が、うらやましかったから。

あたまはわれそうにいたいし、あそびに出かける妹がうらやましいし、

わたしはかなしくて、かなしくて、泣きそうだった。

ひっしで泣くのをがまんしていると、

「 行かない!お姉ちゃんといる!」

妹の言葉に、わたしはおどろいた。


わたしがお父さんとあそんでいた時、妹はどんな気持ちだっただろう。

泣きながら待っていた妹。

あの時、びょう気の妹を一ばんに思ってあげられなかったことが、かなしくなった。

「 お姉ちゃん、いつもありがとう。はやくげんきになってね。」

妹が、ならいたての下手な文字で書いた手紙と、お気に入りの人形を、まくら元にならべてくれた。

「ありがとう。」

「いつもありがとう、お姉ちゃん。」

がまん、がまんはいやだけど、

もう少しだけ、妹が小学生になるまでは、妹のためにがまんしよう。

だってわたしは、妹が大すきだから。

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小学2年生のまひろちゃんの作文です。

何度かご紹介しているいつもありがとう作文コンクルールの受賞作品からのご紹介です。


お姉ちゃんの素直な葛藤と、お互いを思い合う優しい姉妹の姿に心が洗われますね。


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