妹 No.2381
******************************
「 お姉ちゃんなんだから、がまんしなさい。」
まい日まい日、がまんする。
妹のために、がまんする。
楽しみにしていたおやつも、お気に入りの人形も、妹のためにがまんする。
わたしは、妹がうらやましい。
夏休み、妹が高ねつを出した。
その日は、お父さんといとこたちと、あそびにでかけるやくそくをしていた。
「 あたまがいたい。いたい。」
ねこむ妹をおいて、わたしはお父さんと、出かけることにした。
つらそうにねている妹を、おいて出かけるのはかわいそうだけど、
お父さんとあそびに出かけたい気持ちの方が大きかった。
妹がいない時間、わたしはお父さんをひとりじめできた。
妹がいないと、
「 お姉ちゃんなんだからがまんしなさい。」
と、言われない。
おいしいおやつも、人形も本も、全部わたしのもの。
お父さんのだっこも、わたしだけのもの。
わたしはうれしくて、うれしくて、家で待つ妹のことを、すっかりわすれていた。
楽しくて、楽しくて、はしゃいで帰ると、妹が泣いて待っていた。
「 あたまがいたくて泣いているの?」
わたしが聞いても、妹は何もこたえなかった。
何日かして、わたしも高ねつが出た。あたまがいたく、体もだるかった。
妹はすっかり元気になっていた。
「どこか出かけるか?」
お父さんが妹に聞いた。わたしは、かなしくなった。
お父さんとあそびに出かける妹が、うらやましかったから。
あたまはわれそうにいたいし、あそびに出かける妹がうらやましいし、
わたしはかなしくて、かなしくて、泣きそうだった。
ひっしで泣くのをがまんしていると、
「 行かない!お姉ちゃんといる!」
妹の言葉に、わたしはおどろいた。
わたしがお父さんとあそんでいた時、妹はどんな気持ちだっただろう。
泣きながら待っていた妹。
あの時、びょう気の妹を一ばんに思ってあげられなかったことが、かなしくなった。
「 お姉ちゃん、いつもありがとう。はやくげんきになってね。」
妹が、ならいたての下手な文字で書いた手紙と、お気に入りの人形を、まくら元にならべてくれた。
「ありがとう。」
「いつもありがとう、お姉ちゃん。」
がまん、がまんはいやだけど、
もう少しだけ、妹が小学生になるまでは、妹のためにがまんしよう。
だってわたしは、妹が大すきだから。
******************************
小学2年生のまひろちゃんの作文です。
何度かご紹介しているいつもありがとう作文コンクルールの受賞作品からのご紹介です。
お姉ちゃんの素直な葛藤と、お互いを思い合う優しい姉妹の姿に心が洗われますね。
シェアはご自由にどうぞ!
「今日の言葉」
ブログ: http://ameblo.jp/takumi-bill/
facebook ページ : https://m.facebook.com/tbquote