その「痛み」長くなる?
「痛み」に関しては身近に感じることがあるもののまだまだ解明されていないことが多くあります。みなさんも筋肉痛のような心配のいらない「良い痛み」と、今までに感じたことのないような痛み、長期間の痛みなどの「悪い痛み」を経験したことがあるはずです。
今回は「痛み」を急性痛、慢性痛に分けて考えてみました、みなさんの痛みに当てはめて考えてみて頂ければありがたいです。
・痛みとは?
1979年に発表されたIASP(国際疼痛学会)の定義では「組織の実質ないし潜在的な傷害と関連した、あるいはこのような傷害と関連して述べられる不快な感覚的・情動的体験」と定められており、情動などの精神的な要素も関与することがポイントだと思います。
・痛みの持続期間による分類
痛みを分類することにより対処法が変わってきます、まず自分の痛みがどちらか当てはめましょう。
痛みは持続期間により急性痛と慢性痛に分類できます。急性痛はケガや病気に伴う痛みです。慢性痛は急性のケガの治癒に相当する期間を1ヶ月以上超えても持続する痛み、3〜6ヶ月を超えて継続する痛みです。
・急性痛、慢性痛の特徴
それぞれの特徴を理解し、適切な知識で対応することが不安やストレスを解消するポイントとなります。
◇急性痛
身体にとって緊急性が高い痛みとなる、痛みの場所がハッキリしている場合が多く痛みの質は鋭い痛みとなります。
この時期は痛みが出ている組織を特定し、治癒を促進することが最も大切である。多くの場合は適切に処置していれば自然に治っていきます。
◇慢性痛
身体にとって緊急性が低い。痛みの質は鈍くなることが多く、痛みの場所も不明瞭となる。組織の治癒過程だけでは治らない、脳レベルの問題となってきている。
痛みの恐怖、不活動、不要な疾病の情報など複雑な問題が痛みに関わる、そのため医療機関を受診し正しいアドバイスを受けることも必要だと思います。
・慢性痛患者さんの特徴
①痛みの原因が明らかでないことが多い
②多彩な症状を呈する
③痛みの継続期間が長いほど、痛みの原因に関わらず、精神的傾向は強くなる
④痛みの悪循環を形成している
⑤一般的な急性痛で用いられるよう治療法は効果的ではない
・痛みの出ている組織の分類
痛みの感じ方によりどの組織が痛いかを大まかに予測したものをまとめました。ただし、急性痛か慢性痛か、精神的な状態でも痛み方は変化するためあくまでも目安としてとらえましょう。
・神経→しびれ、触れたときの感覚がいつもと異なる
・骨→安静時にも痛みがある
・関節→患部を動かした時の痛みが中心
・筋肉→患部を動かした時の痛みが中心
・内臓→動作とは関係ない痛みがある、食事に関係することもある
⇨病院受診しましょう
・レッドフラッグの除外
レッドブラッグとは命に関わる疾患や予後が悪い疾患のことです、以下に当てはまる症状があれば病院へ行きましょう。
⑴発症時と比べて痛みが悪化している(急速に)
⑵安静時痛や激しい痛みがある
⑶筋力が著しく低下している
⑷排泄障害
⑸体温上昇
・慢性化させないために
痛みが強ければ急性痛の段階で医療機関を受診し、適切な処置を受けることが必要です。セルフケアとしてはネガティブな思考にならないために、日光にあたり適度に体を動かす。食のバランスを良くする(豆類を多く摂るートリプトファン)ことです。
・まとめ
急性痛の場合は早期に対処し、慢性痛に移行させないことが大切です。
慢性痛の場合は痛みに対する考え方を変える必要があります、症状に合わせて医療機関のアドバイスを受け症状の理解を深めましょう。
その痛みについて対処法がわかれば、セルフケアを必ず行いましょう、極端な安静は痛みに敏感になることを助長してしまうので注意してください。
ご覧いただきありがとうございました、みなさんのお役に立てれば幸いです。
参考文献
・月刊スポーツメディスン7月号 202「痛み」
・柏口新ニ 無刀流整形外科 日本医事新報社 2017
・澤渡知宏、三木貴弘 姿勢と動作の評価からつなげるストレッチングとエクササイズ 株式会社羊土社