#3【オンライン展覧会】二位関めぐみ『花枕』
二位関めぐみ『花枕』
はじめに断っておきますが…。
この【オンライン展覧会】という記事の中では、私が本当に「いい！」と思ったり、陶芸家として勉強になったなーと感じた作品を紹介しています。
二位関さんとは、もうすぐ10年にもなろうという長い付き合いで、作家友達としては唯一と言っていいほど普段から仲良くさせてもらっている姉のような存在なのですが…、
決してステマではありませんし、頼まれたわけでもありません。何なら無断で掲載しておりますし。(怒られたらどうしよう…)
ですが、だからこそ。
彼女のものづくりの姿勢を私は知っています。
もう、ほんとに。
「あー！なるほど。
確かにそれは、気持ちいい！」って、
毎回作品見て思っちゃうんです。
いつも、ものすごい量の学びを与えてくれるおかげで、こちらも「がんばろー」って燃えてくるわけです。
で、今回の『花枕』もその一つなんですが。
その作品名を見て、ピンとこられる方も多いかと思いますが、私の解釈から少しくどく解説させていただきますね。
『花枕』に込められた思い。
二位関さんといえば、【some×collection】に代表されるような、染付けの「色」を使った作品の印象が強いかもしれませんが、
個人的には造形に対する思い入れが強い作家さんだと認識しております。(間違ってたらごめんなさい…)
この造形と二位関さんのアートワークに関しては是非、下記リンクのインスタグラムをご覧いただきたいのですが。
ここで『花枕』の形状はというと。
おまんじゅうのような手に収まる楕円体で、真ん中にくぼみがあり、そこに花を挿す穴が空いていますね。文字通り『枕』の形をしています。
この、シンプルなミニマルデザインながらも柔らかな温かみのある形態は、二位関さんの十八番なのですが、今回は“花を受け止める”理想形が追求されています。
つまり『花枕』は、“花を挿す”という今までの認識から転じて、“花を据える”という新しい体験を提案しているという作品なんです。
…さて、ここで驚かされることになるわけなのですが。気付かされることになるわけなのですが。
私達って、なんか座布団みたいなものに球形の不安定なモノ、据えたくなりがちじゃありませんでした？
…うん。
さっきから何言ってんの？ってツッコミが聞こえてきますけども…。怒らずに聞いてください。
私達って、なんか座布団みたいなものに球形の不安定なモノ、据えたくなりがちなんです。まずはそこを認めてください。
占い師が使う水晶だって、木魚だって、お鈴だって…座布団みたいなものに据えられてますもん。
とにかく。
ころんころん、転がるものを安定させるのに、座布団が適していることは間違いないようです。
閑話休題。
皆さんは普段、一輪挿しに花を活ける時、花が思った方向に向かないことがありませんでしたか？
いや、言い方を変えましょう。
花がころんころん、したことはありませんでしたか？
さあ、もう分かりましたね？
って、うわー。
こんなおもしろ文章にしたかったわけではないんです。もう伝わったかと思うのでこの辺りで締めますね。
ただ私はこの作品を観て、
“花を枕に据える”という提案をした時、
まるで大切なものをそっと置いておくように、もしかすると人は、その時に最も花を愛でることが出来たのかもしれないなと、感じてしまったのでした。
さて、
二位関さんのインスタグラムのリンクから『花枕』の購入もできるようなので是非一度チェックしてみてください。
二位関めぐみさんのインスタグラム➤
辻 拓眞 略歴
1992年 佐賀県有田町に生まれる
2017年 佐賀大学 教育学研究科 教科教育専攻 美術教育 修了
2019年 日本現代工芸美術展 現代工芸新人賞
現代工芸美術九州会展 九州陶磁文化館長賞
日展 初入選
2022年 現代工芸美術九州会展 佐賀県知事賞
現在、父 聡彦のもとで作陶に励む
ｰ聡窯について
代々、日本磁器発祥の地である佐賀県有田町で作家として活躍している辻家。香蘭社の図案部で活躍していた先代・辻一堂が、1954年に前身である新興古伊万里研究所を設立し、12年後に「聡窯」と改名し、現在に至ります。
絵を得意とする聡窯では、日本や海外の風景・身近にある自然をモチーフを、先代から受け継ぐ線刻技法と呉須（青色の絵具）で描き、日々作陶に励んでおります。
【聡窯・辻 Sohyoh Tsuji】
〒844-0002
佐賀県西松浦郡有田町中樽1-5-14
営業時間：9:00～17:00（土日祝日／定休日）
Tel:0955-42-2653 Mail:artgallery@sohyoh.com
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