これって青春 成瀬は天下を取りにいく書評
本屋大賞受賞の「成瀬は天下を取りにいく」。このようなブームには乗らない、乗りたくない、乗ってなるものかと思っていたのに、気付けば宮脇書店で購入して、夢中になって読んでいた。
主人公の女子・成瀬の中学時代から高校時代までの伝説的なエピソードが綴られる。
計6章ごとにメインとなる視点が変わり、多面的に観察される成瀬は、好きを貫き、頂点を目指し、損得の勘定をせず、親友の思いを大切にする。そんな「才色兼備」と絶賛されて然るべき文句のつけようのない成瀬はなぜか、「変わり者」とみられる。
高校入学に合わせて丸刈りにする。それは髪が伸びる速さを知りたい、測りたいから。ほかにも常識外れの宣言を当然といった風にする。そんなことをできる。誰にどう思われようが関係ない。
そんな、唯我独尊の境地にあるからか突然告白された相手には
と聞く。
返答に困る相手には
とストレートに聞く。
別れの時も含めて終始やりとりがいさぎよい。
成瀬は孤高で凛としている。他人の評価を気にしない。そして価値あると感じたものに向かって行動し、全身全霊を貫ける。
これって青春だ。
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