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【書評もどき】吐き出さざるを得なかった人間、あるいは世界中にある違和感にどう対処すればよいかについて 〜フランツ・カフカ(頭木弘樹編訳)『カフカ断片集 海辺の貝殻のようにうつろで、ひと足でふみつぶされそうだ』〜
どうも我々人類には、完成したもの、終始一貫して矛盾のない完全なものを、優れたもの、成功したもの、正しいものと判断したがる習性、というより「悪癖」があるようだ。未完成だったり、何を表現しているのかさっぱりだったりするものには、それだけで「失敗」のレッテルを貼ったり、あるいは「未完」という言葉からほのかに漂うネガティブな香りを感じ取り、あたかも完成されていないことがだめなことのように俯き加減でため息まじりに話したりする。しかし一般的な完成とは程遠いものが、何年も経つと心を掴み取っ