ばんぶる

文学研究科専攻の大学院生。人前で話したり友達を作ることが苦手。でも言いたいこと、表現したいことがたくさんあるのです。短歌を詠んだりもしています。

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文学研究科専攻の大学院生。人前で話したり友達を作ることが苦手。でも言いたいこと、表現したいことがたくさんあるのです。短歌を詠んだりもしています。

最近の記事

【書評もどき】吐き出さざるを得なかった人間、あるいは世界中にある違和感にどう対処すればよいかについて 〜フランツ・カフカ(頭木弘樹編訳)『カフカ断片集 海辺の貝殻のようにうつろで、ひと足でふみつぶされそうだ』〜

どうも我々人類には、完成したもの、終始一貫して矛盾のない完全なものを、優れたもの、成功したもの、正しいものと判断したがる習性、というより「悪癖」があるようだ。未完成だったり、何を表現しているのかさっぱりだったりするものには、それだけで「失敗」のレッテルを貼ったり、あるいは「未完」という言葉からほのかに漂うネガティブな香りを感じ取り、あたかも完成されていないことがだめなことのように俯き加減でため息まじりに話したりする。しかし一般的な完成とは程遠いものが、何年も経つと心を掴み取っ

    • 僕の夢十夜 第一夜 お母さんが心配なんだよ

      こんな夢を見た。 部屋の窓から青空が見える。今日はとても良い天気だ。特に何か予定が入っているとか、バイトのシフトが入っているとかいうこともないので、僕はベッドの上でゴロゴロしながらスマホでネットニュースをぼーっと眺める。内容を頭に入れてる訳じゃない。そうすることで無益に見える時間を有意義なものっぽく偽造しているだけだ。 しばらくそうして時間を偽造していると、廊下の方から物音がした。どうやら母親が帰ってきたようだ。そういえば買い物に行くとか言ってたっけ。僕は母が買ってきたもの

      • 友達であること、「役割」を負わされること

        プルーストの真似じゃないけれど、時々ふと目に留まったものとか、触ったもの、食べたものが記憶を呼び覚ますことがある。先日、ある駅前のブックオフで、有川浩の『図書館戦争』を見つけた。その時ふと、中学3年生のときの同じクラスだったある女の子のことを思い出した。いや、思い出したというより、その子が急に僕の頭にやってきた、と言った方がピッタリくるようにも感じる。思い出した時点ではどうしてその子が急に僕の頭にやってきたのかあんまりよくわからなかった。特に親しかったわけでもない。僕がその子

        • 胸の内にある「何か」を言葉にしたかったけどできないまま、27歳になろうとしている。

          昔から、自分の意見を言うのが苦手だった。幼稚園に通っていたある日、先生に怒られた。どういう訳で怒られていたのかはもう覚えていないけど、胸の内で「自分は悪くない!」みたいなことを感じていたことだけは覚えている。その先生に、「どうしてそんなことしたの!」みたいなことを言われた。僕はなんて返せばいいかわからなかった。怒られているという今の状況が怖かった、というのもあったかもしれない。でも僕がもっと奥の方で感じていたのは、「なんて言葉で言ったらいいのかわからない」からだった、と思う。

        • 【書評もどき】吐き出さざるを得なかった人間、あるいは世界中にある違和感にどう対処すればよいかについて 〜フランツ・カフカ(頭木弘樹編訳)『カフカ断片集 海辺の貝殻のようにうつろで、ひと足でふみつぶされそうだ』〜

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