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建築持論

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建築やその周辺領域に関する個人的な観察や、建物を見て考えたことなどについて書いた記事をまとめたマガジンです。記事を4つ以上購読する場合はマガジンの購入がお得です。新しい記事も随時…
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イタリア旅行記①:ルネサンス建築の本質

8月中旬からローマ、フィレンツェ、マントヴァ、ミラノを巡る約2週間のイタリア旅行に行ってきた。ヴェネチアには昔一度行ったことがあるが、これほど本格的にイタリアの各都市を巡る旅は初めてだ。 僕が通っていたイェール大学大学院のカリキュラムには、2年次の夏に1ヶ月間ローマに滞在する「ローマ研修」なるものがあるのだが、僕の代はコロナのためあいにく中止になってしまった。その苦い思い出を抱えたまま卒業して2年半、なぜか今年に入って古代ローマの浴場空間やルネサンス以降のドーム建築などを働

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キンベル美術館に見るルイスカーン建築の魅力

0. 建築の宝庫、ダラス-フォートワースを訪れる 5月の初めに休みをいただいたので、4日間だけテキサス州にあるダラスに行ってきた。ニューヨークから飛行機で4時間ほどの旅だったが、州を越えるとまるで違う国に来たような印象を受ける。共和党支持者が多いだけあって、東海岸ではなかなか見ない「Make America Great Again」のバナーをよく見るし、テキサス州自体完全な車社会なので、ダラスのダウンタウンと言えども歩行者はほとんどおらずとにかく閑散としている。人で溢れて賑わ

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生き物のための建築

1. Every Living Beings最近長らく遠ざかっていた「生き物のための建築」というテーマについて自然と考える時間が増えてきた。きっかけは、2学期のスタジオが始まって最初の課題で、マークフォスターゲージ(MFG)に課せられた「建築をやるモチベーション、どういうものを作りたいのかウケ狙いの嘘なく正直に答えろ」というエクササイズの時だ。その時に僕はポロッと "I want to make an Architecture that has room for every

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虫を探したくなるような建築

1. マークフォスターゲージの建築最近マークフォスターゲージの建築と彼が言っていることにすごく興味があり、色々考えさせられている。マークフォスターゲージとは、僕の通うイェール大学建築学科の卒業生でニューヨークを拠点に活動する若手建築家の一人だ。現在は准教授としてイェールで教壇にも立っており、生徒の間では親しみを込めてMFGなどとも呼ばれている(なので以下MFGとする)。 彼の作品は基本的にオブジェクト指向存在論(Object Oriented Ontology:以下OOO)

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