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日本人の「ペーパーテスト信仰」について考える 〜 ペーパーテストで高得点が取れるスキル=学力という思い込み

こんにちは。
元大手進学塾トップクラス担当講師で、
現在はニュージーランド在住の未来教育コンサルタントのTakuです。

先日インターネットでこんな記事を見つけました。

この記事では「ペーパーテスト信仰」について書かれていますが、
確かに読んでいて、日本人はペーパーテストに対して、
こだわりを持ってるなと改めて思いました。

そこで今日はこのペーパーテスト=筆記試験について、
少し考えてみたいと思います。


ペーパーテストが大好きな日本人

海外で暮らすようになってつくづく感じるのが、
日本における「ペーパーテスト」に対するこだわりの強さです。

世間で頭がいい人といえば日本ではまず東大生。
そしてその東大に入る王道はといえば、
もちろんペーパーテストによる一般入試です。

東大に合格するためにはまず、
大学共通テストで高得点を取ることが必要で、
それには通常、5教科7科目の学習が必須。

共通テストの関門をクリアしても、
さらに4教科5科目の2次試験が待っています。

その合格には長時間ひたすら「書いて」「書いて」、
そして「書きまくる」学習が必要となります。
(もちろん一部の天才は除きます)

ではどうしてそんなに、
ペーパーテストで測れる学力が重要なのでしょうか。

そもそもペーパー試験で測れる学力だけで、
社会に出てから必要なスキルが本当に、
正確に判定できるのでしょうか。

私はその点にいつも深い疑問を持っています。

脱ペーパーテストの動き

ペーパーテストで学力を測るなんて、
当たり前だろうと思われがちですが、
意外に海外では筆記試験の比重は低めなことも多いもの。

アメリカの名門大学でもSATでの審査がありますが、
(最近はそれさえ撤廃されつつあるようです)
入学審査には課外活動や人物審査なども重要なポイント。

日本のようにペーパー試験「だけ」で合格できる、
世界の名門大学はほとんどないのではないでしょうか。

こうした脱ペーパーテストの傾向はむしろ、
加速しているようにさえ感じます。
そしてそれはAIの発達と無関係ではないでしょう。

確かにペーパーテストで測れる学力が、
重要になる場面も社会に出てからあるかもしれません。

しかし現実的に考えてみると受験のペーパーテストで、
問われている問題に回答するための知識が、
社会に出てからどのくらい役に立っているでしょうか。

もちろん教養を身につけて、
人生を豊かにするといった類の側面からなら、
その有効性も見出せるのかもしれません。

しかしITエンジニアを目指す学生に、
古文や歴史などの詳細な知識を身につけさせる、
合理的な理由を私はどうしても見出せません。

ましてやここまでAIが発達している今、
そうした「一時的なテストのためだけの知識」は、
AIで検索すれば十分とさえ思ってしまいます。

このような現実的な観点から考えると、
世界が脱ペーパーテストに動いていく流れは、
自然のような気がしてなりません。

ペーパーテスト信仰の本質

ではなぜこんなにもペーパーテスト信仰を、
手放すのが難しいのでしょうか。

どうして多くの人たちは今もなお、
ペーパーテストの学力にこだわるのでしょう。

もちろん答えは一つではないと思いますが、
私はペーパーテストによる学力把握が、
一番単純で楽だからではないかと思っています。

これは推薦入試と比較するとわかりやすいでしょう。

推薦入試は合否の測定に、
ペーパーテスト以外にも様々な基準を設けます。

課外活動や学習意欲、学習計画や人間力などなど。
その判定は個別に行う必要があり、
明確な基準を設定するのも困難なこともあるでしょう。

こうした個別の審査で学生を選べば、
個性的で多彩な人材の専売ができる一方、
それは膨大な手間がかかる作業でもあります。

また保護者や生徒にとっても、
ここまでいけば合格できるという目安がなく、
不安になることも多いでしょう。

この点ペーパーテスト(特にマークシート!)であれば、
点数で簡単に順位付けすることができ、
手間もお金も大幅に節約できます。

保護者や生徒の側にしてみれば、
偏差値という便利な数字を追いかけるだけで、
一定の合格可能性を知ることもできる。

こう考えるとペーパーテスト信仰とは、
私たちが楽をしたいという思いが生み出した産物であるという、
側面も否めない気がしてきます。

でもすでに到来している、
この先が読めない世界を生きていく中で、
本当にこれでいいのかという疑問は常にあります。

あなたはどう思われますか?

まとめ

さていかがだったでしょうか。

すでに世界で始まっている脱ペーパーテストの流れ。
にもかかわらず日本では相変わらず、
ペーパーテスト進行が盛んなままです。

しかし劇的に変化する世界の中にあって、
これからの未来を生きる子供たちが本当に、
ペーパーテストだけで選抜されるのでいいのか。

そろそろ私たち親自身も真剣に、
考える時期に来ている気がしてなりません。

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