社会科教育学の思い出
ここでは、社会科教育学という社会科の教員養成では必須の科目で経験した、全く対照的な個性を持った教授の講義を受けた経験について述べさせていただきます。
1.実践重視の教授
東京学芸大学在学中には、A教授の講義・演習でした。
A教授は小学校教員出身で、実践を重視する方でした。講義の大半も実践に基づく具体例が多く、指導案の作成などを重要視され、課題の指導案の書き方や板書の方法など厳しく指導された記憶が残っています。
2.理論重視の教授
早稲田大学大学院在学中には、B教授の講義でした。
B教授は中学校・高校教員出身で、昭和40年代に文部省の初等中等教科調査官を務められており、実践より理論を重視する方でした。講義の大半は実践より社会科の科目としての成立過程やその意義を述べられることが多く、社会科が戦後教育を進めるうえでの重要な科目の一つである事を力説されていました。
3.両者を学んだ利点
学部と大学院の違いもあるのでしょうが、A教授の講義・演習では、社会科の授業の進め方を、対してB教授の講義は、社会科を教える意義を学ぶ事が出来ました。技術論の多いA教授は実践的なので人気はありましたが、私自身は、社会科がなぜ社会科である必要があるのか分からず、疑問を持ち続けていました。B教授に出会っていなければ、社会科が必要な事が分からないままでいたでしょう。両者を学ぶ事で、社会科を教えるという事に自信を持つ事が出来ました。
4.現在の社会科について
現在、小学校低学年でな生活科に統合、高校では地歴科と公民科に分離されてしまいました。小学校での統合は必要だったと思いますが、高校での分離は必要があったのか疑問が残ります。
社会科の意義を学んだ者としては、高校教員でも、地歴・公民両者の知識が必用だと思っていますし、片方の知識しか持たない教員では、統合されないままの人文・社会科学の学問の切り売り的な授業になってしまっているのではないかと危惧していますが、現場ではどうなのでしょうか?これらの事についても、今後調べてみたいと思っています。