ウルトラCなおばあちゃん
老人ホームでの楽しいエピソードを綴ってます。
ベット上で凄い技を披露しているのはカツさんだ。
ベットの手摺りを掴んで、腰にややひねりを加えた姿勢で何時間でもいられる。 (腕の筋肉を鍛えているようにも見える)
たまにウルトラCで反対を向いたり、ハッスルし過ぎてお尻が半分見えたりしている。
そして華やかな着地に成功すると、センサーマットが鳴る。
(ベットは床すれすれまで下がる優れものを使用)
競技はベットだけではない。
車椅子でも選手として活躍中だ。
お尻を少しずつずらすやり方と、大胆に一気に下まで下がるウルトラCがある。
大概ウルトラCは人が見ていない時に隠れて成功させている。
だからカツさんからは目が離せない。
カツさんは「ありがとう」と言うのにも時間が掛かる。
「アッ、アッ、アッ、アッ、アッ、アリガトウ~」
と、一生懸命言ってくれる。
これはとても嬉しい。
いつも「ア~、ア~」とカラスみたいに発語があるが、最近は
「ゴ~、ロク~、シチ~、ゴジュウ」などと数を数えている時もある。
たまに言葉のウルトラCで
「ニンシン、サンカゲツ」
「オッ、オッ、オッ、オッ、オセンベイトアメ」
なんてことも言っている。
カツさんは楽しい。だからカツさんからは耳も離せない。
カツさんは昔夫婦で洋食屋を営んでいた。
オムライスが人気だったらしい。
それでカツさんは「アリガトウ」の他に感謝を表す別の言葉を持っている。
「ウッ、ウッ、ウッ、ウッ、ウチニオイデヨ」
これはウルトラC以上の特別な特別な言葉で、
「いつもお世話してくれてありがとう。
家は洋食屋だからお礼に食事をご馳走しますよ」
と、言う意味。
たまにこのウルトラC以上の言葉が飛び出すと、感動で涙が出そうになる。
殆どの職員がカツさんに招待されている。