エヴァンゲリオン監督・庵野秀明のプロフェッショナルを見て教育の矛盾について考えさせられた話
先日見たプロフェッショナル仕事の流儀 庵野秀明(エヴァンゲリオン監督)の特集があまりにも衝撃的だったので、そのことについて書こうと思う
番組では庵野監督が鬱になりながらも、一切の妥協をせず、仕事を進めていく様子が描かれていた
なんというか、文字通り命を削ってる感じだった
その様子を見ながら、こんな疑問を持った
「なぜこの人はこんなに頑張れるんだろう?」
お金のため?
自己表現の楽しさから?
期待しているお客さんのため?
アニメを通して社会に伝えたいことがあるから?
いや、ただアニメ作りが面白くて大好きだからか?
いろんな可能性が頭に浮かんだ
しかし、庵野監督の答えはどれでもなかった
「これしかできないから」
庵野監督はこう答えたのだ
この一言に僕はハッとした
なぜか?
ぼくは人が何かを頑張れるのは「これやりたい!」というポジティブな気持ちがあるからだと考えていた
いわゆる内発的動機づけってやつだ
だけど、庵野監督の答えはむしろ逆で、「これしかできない」というネガティブな確信が彼を突き動かしていたのだ
そして、このことは「教育」の矛盾を浮き彫りにしているように思う
それはつまり、
“できる” とか “これ好き!これやりたい!”が増えることと同じくらい、
“できない” とか “これ嫌い!やりたくない” とあきらめることにも価値があるということだ
できない!嫌い!やりたくない!を繰り返し、
あきらめを積み重ねていったその先にたどり着く ”これしかできない”
その境地に至った人間が放つ輝きの強さを庵野監督は見せてくれた
僕たちはきっと教育を根本からとらえ直さないといけない
もちろん、何かの能力を身につけたり、興味を広げるためにサポートすることに価値がないというわけではない
ただ、能力や興味を広げようとサポートした結果、それがうまくいかなかったとしても、その挫折やあきらめにも価値がある
つまり、何かが欠けていること自体に価値があるということを肝に銘じなければいけない
いや、本当は肝に命じる必要もないくらい十分に僕たちはそのことに気づいている
なぜなら、エヴァンゲリオンに登場するキャラクターは皆、どこか欠けていて、ゆえに、僕たちはあの登場人物と物語に魅了された
欠けていることは愛しく
欠けていることは面白く
欠けていることには価値がある
エヴァンゲリオンに魅了された僕たち自身がすでにこのことの証明者だ
庵野監督のプロフェッショナルを見て、
子どもたちが安心して欠けたままでいられる ”欠けたままを愛す教育”の可能性を感じずにはいられない
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