16・孫からご先祖さまへの手紙
田舎で暮らしてた子供のころ、8月のお盆には 迎え火を焚いて、その火を提灯にうつして 毎晩 お墓参りにいった。
夏の夜、みんな浴衣を着て、橙色の火が灯った提灯をさげてお墓に向かう。
そのときばかりはお寺やお墓がにぎわって、とっても楽しかった。
東京に来てからは、迎え火も送り火もしたことがない。
お墓が歩いて行けるほど近くにないし 夫婦と子供だけだったので
そんなことをする気持ちの余裕がなかった。
スーパーなどで、迎え火のセットを見ると、迎え火を焚きたいなあと思うのだが。
しかし、仏壇はあるので、お盆のころには ごちそうをあげる。
先日 孫がきたとき、私の母が 孫(母にとってはひ孫)を相手におだんごを作ってくれた。
孫たちといっしょに、小豆の味付けをしたり、すり鉢でゴマをすったり、お団子を丸めたりして、あずき・ゴマ・きなこのおだんごをつくった。
2才の孫も いっしょに すりこ木でゴマをすらせてもらって満足そう。
そして、私が「のんのちゃんに上げてね」といって
じーちゃん(夫)のお父さんやお母さん、ばーちゃん(私)のお父さんなんかのことを話してあげたら、
7才の孫が、ご先祖さまにお手紙を書いて お団子といっしょに上げてくれた。
それには
「みんなでつくりました。おいしくたべてください。どうぞ。」
と書かれてあった。
私はうれしくて涙が出そう。
夫の両親や私の父も ひ孫からの心のこもった手紙とおいしいお団子に
どれほどうれしいお盆だったろう。