【短編小説】微熱の冷めぬ、夏の夜(3/3)
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次にマリがやってきた夜は、うだるような暑さで頭がおかしくなっていた。水を入れた木のたらいに、裸足の足を突っ込んで。
いつもはお酒なんて飲まないのに、夫の缶のハイボールを勝手に飲んでしまっていた。
「お久~。どう? 進んでる?」
マリはいつも楽しそうだ。こっちは浮かない気分だっていうのに。
「あれ、お酒飲んでるんだ! 私も~」
マリはシャンパングラスを傾けて見せた。シャンパンかあ。金持ちなんだね、もうひとりの私は。
「どうしたの? この間言ったこと、気