【小説】園子シリーズ『中川園子の憂鬱』(2/5)
しまうま女は、結局、院長先生について、手術と抗がん剤治療をすることに決めたようだった。
もっとも抗がん剤自体は、化学療法医がやることになっている。化学療法の宮野先生は、イケメンで優しい。それゆえ抗がん剤治療をがんばれる患者も多い。
それもみな、岩手から宮野先生を引っ張ってきた、院長の手腕なのだ。きっと宮野先生にも、イケメン手当が払われているに違いない。
例によって院食で、院長先生に声を掛けられた。内容は、あのしまうま女を黙らせた謝辞と、お礼に一席設けたいというも