KPIをユーザーに背負わせるという発想(バッジの効果)
さて、最近noteをやっていて、気づいたバッジの効果について備忘もかねて記載しておこうと思う。
ユーザー行動に関するKPI設定でありがちな沼
リアル・バーチャルを問わず、事業を展開する側は、何らかの「ユーザーにこう動いてほしい」という願望を持っているだろう。
・自社製品を買ったら、友人に勧めてほしい(NPS的発想)
・自発的に健康管理をしてほしい(保険会社的発想)
・プラットフォームの健全な運営に協力してほしい
・・・などなど。
しかし、自社の中で「ユーザーが自分の記事を毎日投稿する」とか、「ユーザーの課金率○○%」といったKPIを独りよがりに立てたとしても、
「で、、どうやってユーザーを動かせばええねん!!?」
といったuncontrollableの沼にはまるケースが散見される。
「まずはロイヤリティ向上だ!」
とか、ざっくりした感じでうやむやになって、あとは気合で処理するというケースも多い。そうなると、結局目先の売上に引っ張られ、指標管理は後回しになりがちである。
つまり、PDCAが回り始めるまでに、簡単に数年かかってしまうのだ。その前に採算合わなくて事業消滅ということも。。
様々なビジネスで使える、KPI達成のための発想の転換
最近noteをやり始めて、noteの「自己承認欲求を刺激して、KPI達成をユーザーに背負わせる」という発想は素晴らしいと思った。
その根幹にあるのが「バッジ」である。ここでいう「バッジ」は文字通りバッジなのだが、「自己承認欲求を満たす非金銭的なインセンティブ」と言い換えてもいい。
もちろん、バッジをもらうことを目的にnoteを書いている人は決して多くはないだろう。
ただ、運営側からしたら、自社のビジネスにおけるKPIを効率的に達成してくれるユーザーをセグメント別に特定しやすくなるし、一部のユーザーは、積極的にビジネスのKPIを達成してくれるという美味しい状況も起こりうる。
tarakoも、単純に記事を読んでくれた方、「スキ」「フォロー」をしてくれた方には心から感謝するし、何か恩返しをしたいと思う。そうするといつの間にかバッジがランクアップしていく。バッジ自体は目的ではないが、なんだか達成観と自己肯定感が高まるのだ。
つまり、運営側に知らず知らずのうちに協力しているのである。
少し専門的な話になるが、
上記が、あらゆる産業でDxが完了した先で起こる、KPIの発想の転換だと、tarakoは思ったのである。
つまり、これまでは、タッチポイントがぶつ切りだったのに対して、デジタルが裏側で走っているのが前提なので、自社所有外のタッチポイントや、AppをAPI経由で統合して、ユーザーにKPIを背負わせることができるようになるというイメージだ。
そのためのインセンティブが自己承認欲求を満たしたり、自己肯定感を刺激することで十分(コストがあまりかからない)という状態が、勝ちパターンなんだろうなと。
いちいち、「○○してくれたら割引」とか「ご紹介キャンペーンでXXプレゼント」とかしてた時代が終わるのである。
Lessons learned
今回の気づきは、SNSでは一般的な「いいね」などの仕組みが、実はリアルのあらゆるビジネスで応用可能なのではないか?
という仮説にたどり着いた点である。
ご自身の会社でも、営業が面談件数や販売額などのKPIを負っているのは当然のことだろう。
しかし、一見遠回りのように見えるかもしれないが、発想を変えて、
「お客さんが自発的に○○してくれる、自己承認欲求や自己肯定感のツボはどこかな?」
という観点から、インセンティブとKPIをセットで設計してみてはいかがだろうか?
あらゆるビジネスで、ユーザーの行動変容観点で、一考の価値はありそうだ。
ただ、この仕組みを悪用すると、悪徳multi-level marketing(マルチ商法)のようにもなりかねないので、あくまでもユーザーのベネフィットに力点を置く注意が必要である。
裏を返せば、それだけ劇薬的な強力ツールになると考えることもできる。