【読書感想】下村敦史『告白の余白』
2019/05/22 読了。
下村敦史『告白の余白』
高知で農業を営む英二のもとに、放浪していた双子の兄・英一が帰ってくる。英一は、実家の農地を京都のとある女性に譲るという遺書を残して自死する。英二は、英一のふりをして京都で生活を始める。
新感覚のミステリー小説だった。伏線らしき伏線があるわけでもないけど、見方を変えるとそこら中に伏線が張ってあるという構成。京都ならではの言語感覚は、よその人間からすると新たな表現でとても楽しかった。
舞妓と芸妓、京女と東女、和菓子屋と饅頭屋など、京都あるあるがめちゃくちゃ面白かった。誇張してる部分もあるだろうけど、京女は意地悪だなあと思ってしまった。
「相手のこと気遣って喋ってるだけやのに、京都人は腹黒い、なんて言わはるから、よそさんは”ややこい”わあ」
そう言われてみればそうかもしれない。相手のことを気遣って敢えて言わずにいて、結果的に傷つけてしまった事あるもんなあ。
何が本音で、何が世辞なのか、一度読んだだけでは分からない、”ややこい”小説でした。
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