【読書感想】米澤穂信『満願』
2018/04/08 初めての本、読了。
米澤穂信『満願』
6篇のミステリー短篇集。
新しい本を読み始める時、前の本の世界観を引き摺っていて入り込むのに時間が掛かる事がよくある。
ただ、この『満願』は違った。
巻頭の短篇『夜警』の1行目で米澤穂信の世界に一瞬で引き込まれた。何てことない冒頭の一文なのに絶望感がすごい。と同時に、何が起こったのか覗き見たいという興奮も押し寄せる。
ミステリー小説だから、もちろん謎解きの面白みもある。ある話で、「犯人わかっちゃったんですけど」と、ウキウキと読み進めていったら、ラストで自分の浅はかさを思い知った。人間の業の深さを見た。
個人的に好きな話は、『夜警』と『死人宿』。
『夜警』は、新人警官を育てる交番長の語りが面白い。交番長の観察眼が恐ろしい。
『死人宿』は古典的なミステリ小説だけれど、主人公が元恋人に試されて知らず知らずのうちに変化していくところが読み応えがあった。梁が出てくるのも好き。
う~ん、やっぱ全篇どれも好きだな。
6篇すべて胃の腑の重くなるような読後感だがそれがいい。湿ってるんだよなぁ、文章が。それがいいんだよな~。
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