【読書感想】東野圭吾『容疑者Xの献身』
2018/03/11 久しぶりの本、読了。
東野圭吾『容疑者Xの献身』
何度も何度も読んで内容も結末も知っているのに、ラスト1頁でやっぱり泣いてしまった。
容疑者Xの献身、というタイトルがすごく好き。読み終えた後、このタイトルが心に浸透してきて、切なくてさらに泣く。
石神が準備した完璧な論理、完璧な防御はラスト1頁まで完璧に実行されている。湯川の推理さえも凌ぐプランを石神は準備し実行する。ただ、ラストほんの数十行で、石神のプランは崩壊する。ただ、それは石神自身によって崩されたものだ。石神の深い愛情が、石神の緻密な計画を崩した。ここが本当に切ない。
石神が花岡靖子のどこに惹かれたのか、花岡靖子に人生を捧げるほどの魅力があるのだろうか、最初そこが分からなかった。でも、人生に絶望し自死を決行しようとしている最中に訪れた花岡母娘に、石神が理屈ではないものを感じた、それでいいのではないかと思う。事実、花岡靖子は利己的な部分もあるし、それを石神も理解している描写もある。人柄ではなく、存在。彼女の存在に、石神は価値を持っていたのだろう。
この小説、トリックの部分もさることながら、湯川と石神と草薙の関係性も読み応えがある。あの冷静沈着な湯川がここまで感情的になるのか、とシリーズを通しての驚きもある。
久しぶりに読んでよかったな。
ぐーっと入り込んで、ぶわっと解放されるこの感覚が、この本の良さだと思う。
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