【読書感想】桜庭一樹『私の男』
2018/02/08 読了。
桜庭一樹『私の男』
時間を置いて読むと新しい感じ方があっていいもんでした。
物語の最後から遡っていく構成がいい。何度読んでもいい。2人がどうやって暮らしてきたか知ってて読むのもいい。あんな事こんな事しちゃっててもいい。ただの謎解きじゃなくて人の心の変遷がキチンと描かれているので、読む度に深まっていく。そこがいい。
第1章は、腐野花と腐野淳悟の終わりから始まる訳だが、この時花は淳悟に生理的な嫌悪を持てるようになっている。夢から醒めたような、灼熱の恋から冷めたような、現実。
でも、花は罪を罪と認識していても、償う意思はないように思う。やはりどこか幼い。庇護欲を掻き立てられる幼児性を持った花という女の描き方は成功している。
花はいつも受け身だけれど、津波の際自分を生かした「お父さん」に対しての怒りは、とても人間的。花は家族と死にたかったんだろうな。
お父さん、と、おとうさん。
一字違うだけなのに別の生き物みたいだ。
淳悟が奪っていってるように見えるけど、 「お父さん」が花を殺してしまったのかもしれない。
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