今一度、「旧正月」について考えてみる
◆はじめに
読者の皆様、1日遅くなりましたが新年明けましておめでとうございます。
2025年も引き続きよろしくお願いします。
新年最初の投稿となる本記事では、何故か日本では祝われることが少なくなった旧暦の正月(旧正月)と、今一度「旧正月」に目を向けてみる必要性について一市民の視点から考察を加えてみました。
◆きっかけは2024年1月1日の能登半島地震
2024年能登半島地震は元日の夕方16時10分、人々が初詣に出かけたり、自宅でテレビを観て正月休みの気分に浸っているさなかに発生しました。
各地で家屋の倒壊や土砂崩れが発生したほか、輪島市の朝市通りでは大火災も発生、関連死も含めると462名の尊い命が失われました。
二次災害として、翌1月2日には羽田空港での災害出動中の海上保安庁機とJAL機の衝突事故(5名殉職)が、9月21日には集中豪雨(16名死亡)がそれぞれ発生しています。
地元の北國新聞社はこの大災害を「1・1大震災」の呼称で報道。
正月の一家団欒が一転、家屋の倒壊で妻子を一度に失ったある男性は、テレビ局の取材に対し「よりによって元日とは卑怯だ」とコメントしています。
阪神・淡路大震災と大阪府北部地震で被災した経験のある私も、この日義実家で食卓を囲んでいる時は、とてもお祝い気分ではなかったのが本音でした。
改めて、犠牲になられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災地の早期の復興を願います。
◆改めて旧正月の文化を見直してみる
この地震で被災した方、大切な家族を亡くされた方にとって、これから先新暦の元日はお祝いの日であるとともに慰霊の日ということになります。
直接被災していなくても、過去に別の場所で同様の災害を経験した、あるいは災害報道で心を痛めた方のなかにも、元日を慰霊の日と捉える方がおられるかもしれません。
この現実を踏まえ、世間には私を含めて次のような意見を持つ人が出てきました。
「正月は新暦だけでなく、旧暦の正月(以下旧正月)だってある。日本でも旧正月をお祝いしてはどうか。」
もともと日本では旧暦(太陰暦)を使用していましたが、1873年(明治6年)1月1日より現行の新暦(太陽暦・グレゴリオ暦)に切り替えられました。
新暦が採用されてからも、日本の多くの人々は新暦の正月とあわせて、長く慣れ親しんだ旧正月も引き続きお祝いしてきたわけですが、太平洋戦争の敗戦後、沖縄県や奄美諸島を除く日本の大半の地域ではどういうわけか旧正月をお祝いする習慣が廃れていきました。
ちなみに、朝鮮半島や中華圏などの近隣諸地域でも、近現代に入って新暦が入ってきたわけですが、これらの国々では現在も新暦の正月と旧正月を両方お祝いする習慣になっています。
なかでも中国(中華人民共和国)や台湾、ベトナムでは、「春節」と呼ばれる旧正月に合わせて国民が1週間前後の長期休暇を取得するようになっており、この時期に合わせて日本を含む諸外国に旅行する人も多いといいます。
◆旧正月のお祝いと、それに伴う経済効果について
日本で旧正月を大々的に祝わなくなった理由は定かではありませんが、能登半島地震のことを抜きにして考えても、他のアジア諸国と同じように、新暦の正月だけではなく旧正月をお祝いすることは特段間違ったことではないように思います。
地域、所属する集団、あるいは各個人ごとに、新暦の正月だけを祝うか、旧正月だけを祝うか、新暦の正月と旧正月を両方祝うかを自由に選べるようにするのが理想なのではと思います。
また、そもそも旧正月にあたる期間には、先述したように中国や台湾、ベトナムからの数多くの旅行者が長期の休暇を利用し、日本各地の観光地や商業施設を訪れます。
春節期間の訪日旅行者による経済効果は無視できない規模のものと言われており、たとえば旧正月に合わせて商業施設や通販サイトなどで大々的にセールを打ち、それにより訪日旅行者だけでなく日本国民の消費意欲を喚起することができれば、さらなる経済の活性化に繋がるかもしれないのではと思います。
そのうえで、旧正月が国民の祝日になれば、その日に合わせてレジャーや外食を楽しむ需要も創出され、経済効果はさらに大きくなります。
業種・職種を問わない賃上げや基礎控除、社会保険料の見直しなども合わせて行えば、国民の消費する金額が増えることで、なおさら日本経済の活性化に効果的なのではと思います。
◆おわりに
2025年の旧正月は1月29日(水)。
新暦の正月に発生した能登半島地震のことを風化させず、後世に語り継ぐことと合わせて、今一度旧暦や旧正月の文化について思いを馳せてみるのも一考かもしれません。