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ダンディーなポアロと豪華エジプト旅行へご招待 映画【ナイル殺人事件】

いってきました、映画「ナイル殺人事件」。王道ミステリー好きですが、ポアロの前作やホームズのリバイバル版などはまったく見てません。今回初めて、なんとなく行ってきました。


※殺される人、犯人の名前は書かない程度のネタバレします。

染みついた旧ポアロ像

ミステリー好きの親の影響で、子どものころからポアロとホームズは全巻読んでいますが、より人間模様が描かれたポアロの方が好みで、数年に一度はマイ・ポアロブームが来ます。ただ、記憶力が悪いのか毎回ほとんど忘れてしまいます(ポアロはトリック云々よりも人間模様だからいいんです…)。読んでる途中に気づくこともあるけれど、今時点で犯人が分かるのは「アクロイド殺し」くらい。

だから原作「ナイルに死す」も読んだはずなのですが、まったく覚えてません。

映像としては、だいぶ古いドラマ「名探偵ポワロ」も再放送で子どもの頃よく見てました。吹き替え版の声の雰囲気もあって、あのとぼけた変人のイメージが強いので映画見てびっくりしました。映画版ポアロ、かっこよすぎるやんけ! 変人ぶりも控えめに感じました。

わたしが知ってるのはこれ↓ これが染みついてる。


この記事を書くにあたって調べたところ、2017年の「オリエント急行」が第1弾で今回と同じケネス・ブラナーがポアロを演じてるんですね。言われてみればあったような気がしますが、完全スルーしていました。



最初は違和感もありましたが、ダンディーポアロならではの演出は良かったです。

女優2人の色気がすごい

でもって女優さんがものすごい美人。ハリウッド疎いので全然知らなかったんですが、リネット役のガル・ギャドット、彫刻みたいな完璧な顔と体にため息がでます。いい例えじゃないかもしれませんが、ナタリーポートマンの知性や気品と、若き日のアンジェリーナジョリーの色気とか強さを足して2で割ったよう。顔だけでいうとリリーコリンズにも似てるような。どこかのサイトで「いま世界で一番セクシーな女優」って書いてたけどすごく分かります。

ジャクリーン役のエマ・マッキーは新人らしいですが、明るい華やかさと色気がいい。名前と風貌から、見た瞬間「え、ジャクリーン・ケネディと関係ある?」とか考えちゃいました。髪型も顔も雰囲気が似てるんです。まあ関係ないでしょうけど。

前半は豪華豪華のオンパレード

前半はきらびやかな舞台をバックに、次々と出てくる登場人物の紹介。

冒頭の女優2人の登場時は、大人の女の色気が絡み合い、喜びと絶望と怒りがまじりあったような、ハリウッドらしい野性味帯びた心に残るシーンでした。ここから事件の幕が開けるのね…! みたいなゾクゾク感があります。

そこからの豪華新婚旅行がものすごい。リネットの大富豪ぶり、新婚のハシャギっぷりをとくとご堪能あれ。ハリウッド女優だから当たり前なんでしょうが、ガル・ギャドットが大富豪役にまったく負けてません。というか、まんまリネットでした。なんかご本人も本気の大富豪らしいですね。

旅行先はエジプト。ピラミッドにスフィンクス、あと名前知らないけど壁際にでっかい人がたくさん座ってるやつ(笑)とか、写真やテレビで何度も見たことがある観光名所が続々登場します。わたしは行ったことがないんですが、疑似体験ツアーさせてもらってる気分でした。時代が違うからそのままリアルではないと思うんですが、毎度感じることながらCG技術はすごいですね。恐ろしい時代です。

一転 ダークな雰囲気に

ジャクリーンが不気味に付け回したり、事故で一命をとりとめるようなシーンもありつつ、事件は起こりそうで起こらない。それがクルーズに移った途端、不穏な空気が流れます。

展開を知らないので「だれが死ぬの?」ってハラハラしていたら、新郎・サイモン(アーミー・ハマー)が負傷するという事件(事故?)が。「ついに事件発生!」かと思えば、思わぬ形で第1の殺人。そこからは一転、急激にダークな雰囲気になり、第2の殺人、そしてまさかの場面で第3の殺人と続きます。

最近見るミステリーは国内ドラマ・映画が多かったので、それと比べると事件が起こるまでの前振りが長い。ミステリーで前置きが長すぎると、本だと冗長なのですが、2時間ドラマで、しかもこんなバブリーな豪華な映像だと飽きません。しかも、人間ドラマを見せるポアロなのでこれでOK。むしろ何事も起こらない前半にも、これから起こる事件のを示唆するポイントがちょこちょこあり、事件からが伏線回収とすら言えます。シリーズとして世界的ファンのいるポアロであり、映画化も2回目とのこと(でしたっけ?)。多くの人が「もう全部話知ってる」っていう王道中の王道だからこその構成なのかもしれませんね。日本で言う「八ツ墓村」ですね。

ドラマティックな悲劇で閉幕

殺害シーンの描写は控えめで、必要最小限にとどめています。グロいのが苦手なわたしとしてはうれしかったです。ちょっとしたアクションシーンもあって、「ポアロやのに俊敏すぎやろ!」ってまたあのなつかしいポアロが浮かんで脳内突っ込みが。

謎解き終了と同時に起こる悲劇は、今まで見たミステリーで一番ドラマティック。舞台を見ているようでホレボレしました。

そして正真正銘のラストは、酸いも甘いも経験した後にくる、大人の情緒あるほのかな恋愛模様。いや待て、ポアロカッコよすぎ。すごく良いラストだったんですが、ちょこちょこ頭に浮かぶ昔の丸っこいポアロが最後まで邪魔をしてきました。

王道ミステリーが好き

ミステリーの展開としては「最初に事件が起きて、じっくり推理。途中でまた事件」というのに慣れていたので、今回は新鮮でした。本も絶対読んだなずなのですが、ここまで覚えてないところを見ると好みじゃなかったのかもしれません。さっきも書きましたが、本で読む場合は早く事件が起こらないと「つまらない」って思いがちです。豪華絢爛さや裏に秘めた愛憎劇は文字より映像の方が断然映えますね。

わたしは「the王道」が好きなので、かなり好きな感じでした。最近のミステリーは、ちょっと変わった設定を入れたり、どんでん返しとかで刺激はあるのですが、無理やりっぽいのも多くて、スムーズじゃないと気持ち悪さが残ります。あと、人の心が欠如しすぎた人物は、どうしても感情移入できません。「ストーリー展開上、入れたんだろうな」というのが分かってしまう。(前も似たようなこと書いたかな)。

本作はわたしの染みついた記憶のせいでポアロのダンディーさが気になっただけで、ミステリーとしては古典だし、あとは特に引っかかりもなく見れました。

最近よく見る前述のミステリーがインスタントの激辛カレーなら、ポアロはじっくり煮込んで旨味を引き出した一流料理人のカレーかな。それぞれに良さはあり、好みの違いではありますが、普段は前者を食べててごくたまに後者を食べて「やっぱこれでしょー!」みたいな。

数十年前に初めて映画化されたときの情報を見ると、役の設定が微妙に違っています。王道をたどっているようでいて、ちゃんと現代版にアレンジされてるんですね。原作を忘れてるので、どこが違うのか分からないのですが、「愛の数だけ、秘密がある。」というキャッチコピーに従ったアレンジなのかなと思いました。

王道が好きとかいいながら、どこかで見たようなものだと不満なのだろうとは思います。物語の展開なんてミステリーに限らずラブストーリーもヒューマンもホラーももう全部で尽くしていて、あとはリバイバルしかないのかなと思ったり。時代に合わせて変えるといっても、人の心の動きは古今東西あんまり変わりませんもんね。

映画やテレビが始まってどのくらいか知りませんが、200年は経ってないでしょう。それでこれだったら、未来のストーリーテラーってどういう形なんでしょうか。予想もしないところからおもしろいのが出てくるのかな。


◇タグをつける時に気づいたのですが、昔のドラマは「ポロ」で映画は「ポロ」なんですね。え、どっち?って迷ってしまった。今はポロで統一されてるのかな。

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