コンテンツマーケティングは「第一想起」の獲得に寄与する
こんにちは。株式会社LANYの竹内(@take_404)です。
株式会社LANYは、SEOコンサルティングを中心とするデジタルマーケティング支援を生業とする会社です。
最近、YouTube運営やメルマガ配信といった自社のBtoBコンテンツマーケティング施策について振り返るnoteを執筆しました。
2つのnoteを執筆して感じたのが、コンテンツマーケティングは第一想起の獲得に大きく寄与するのではないかという点です。
今回のnoteでは、コンテンツマーケティングと第一想起の関係について考えてみます。
事前のエクスキューズとして、私は学術的なマーケティングに精通しているわけではありません。
あくまで自社のマーケティング活動の現場から学んだ内容を自分なりに書いているだけなので、言葉の定義や考え方は完全なる私見です。もし気になる点があればとても優しく教えてもらえると嬉しいです。
また、今回のnoteをまとめるにあたってトライバルメディアハウスの池田さんのnoteをめちゃくちゃ参考にしました。感謝です。
第一想起とはなにか
第一想起について語られる際によく目にする図が次のものです。
小難しい図ですが、「想起集合」と「第一想起」の2つの概念が理解できれば大丈夫です。
想起集合(Evoked Set)とは、「何か買おう」と思った時に頭の中に思い浮かぶブランドの集合体を指します。
ビールを買おうと思ったら、プレミアムモルツやサッポロ黒ラベル、スーパードライなどが頭の中に思い浮かびますが、それが想起集合(Evoked Set)です。
その想起集合の中で最もはじめに想起されるブランドが第一想起(Top of Mind)になります。要は、「ビールといえば?」と聞いて一番に最初に出てくるブランドのことですね。
LANYは、創業当初からの目標として、SEOのカテゴリにおける第一想起ブランド(「SEOといえば、LANY」)になることを掲げています。
第一想起されるブランドになることの事業的メリットは大きく、BtoB領域であっても第一想起を獲得するためのマーケティング活動に注力してきました。
第一想起のなにが良いのか
LANYが第一想起を目指している一番の理由は「かっこいいから」ではあるのですが、事業的なメリットも大きいです。
私たちはSEOコンサルティングや広告支援などのデジタルマーケティング支援を提供しています。
カテゴリとしてのサービス価格も高価格帯になるため、見込み顧客の方々はサービスの契約に向けて時間をかけて判断される場合がほとんどです。
検討の際に、第一想起のブランドになっていることで、次のようなメリットが享受できます。
絶対に比較検討の土台に乗れるようになったり、比較検討の際に選ばれやすくなるのは、BtoBなどのコンペがよく起きる商材では大きなアドバンテージです。
第一想起ブランドとなることのその他のメリットについては、下記の記事が参考になりましたのでぜひ合わせてお読みください。
上記の記事で個人的に興味深かったのが、第一想起を獲得すると「選ばれやすくなる」理由についてです。
人間は欲しい商品に対する肯定的な情報を探し求める「確証バイアス」が生じるため、第一想起のブランドに対しては、比較検討する材料を集めるのではなく、選択を正当化するための背中を押してくれる情報を見つけようとするらしいです。
たしかに、自分自身の意思決定を振り返ってみても、結局のところ第一想起ブランドを選択することが多い気がしますし、その際の比較検討はただの正当化になっている気もしました。
WACULさんの調査レポートでも、「BtoBでも第一想起した商品を導入する確率は55.3%」との結果が出ているそうです。
よって、デジタルマーケティング的にいえば、第一想起を獲得することで事業全体のCACが大きく下がったり、コンペがなくなることで営業コストが下がるなど大変ポジティブな効果が得られます。
第一想起の獲得に投資していくことが、より大きなリターンを返してくれることをなんとなく理解していただけたのではないでしょうか。
第一想起はどう作られていくのか
第一想起に入るためには、まず想起集合(Evoked Set)に入ります。
想起集合(≒ 「何か買おう」などと思った時に頭の中に思い浮かぶブランドの集合体)に入り、その中で「第一想起」になるには次の2点が重要です。
消費財メーカーが大量のテレビCMを放映するのは、接触頻度を高めて想起集合に入る(入り続ける)ためであり、ポカリスエットのCMが機能訴求をせずただただエモいのは、「なんか好きなブランド」という好意度を高める目的もあるでしょう。(たぶん)
要は、「"好き"につながる情報」を「"大量"かつ"高頻度"で見込み顧客に接触させていく」ことが、第一想起の獲得につながると私は考えています。
※この辺りはもっと学術的にも学びを深めたいです
池田さんの下記のnoteでは、人間の記憶のメカニズムなどからどのように第一想起が形成されていくか等も解説されていますのでぜひ参考にしてみてください。
コンテンツマーケティングは第一想起の獲得に寄与する
第一想起を獲得するためには、下記が重要だと述べました。
これは、コンテンツマーケティングの得意分野なはずです。
だからこそ、コンテンツマーケティングに注力していくことで、第一想起の獲得に大きく近づくと信じています。
コンテンツマーケティングが第一想起を獲得する上で利用価値が高い理由は次の通りです。
それぞれ簡単に自分なりの意見をまとめます。
接触頻度を高めやすい
コンテンツマーケティングは、テレビCMのような莫大なコストはかかりません。SNSやブログ、YouTube等であれば、なんなら無料レベルで開始することもできます。
下記のnoteにLANYのコンテンツマーケティングについてまとめたことがあるのですが、振り返ってみると1ヶ月の期間でもかなり多くのコンテンツを作成することができていました。
一ヶ月のコンテンツ制作量の一例は次の通りです。
コンテンツ量が多ければ、それだけ多くの接触機会が設けられます。
また、テレビCMと異なり、コンテンツはストック資産になります。
ブログやYouTube、ホワイトペーパーなどは、一回作ってしまえばその後ずっと使い回すことが可能です。
よって、刹那的な接触(フローとしての接触)だけでなく中長期的に持続して接触し続けることができます。
コストをかけすぎることなく接触頻度を高め続けられるのは大きな利点です。
伝えたい情報を伝えたいだけ伝えることができる
テレビCMやWeb広告は、予算さえ使えば大量の人数にリーチすることもできますし、GRPやフリークエンシーを高めれば高頻度に接触することも可能です。
しかしながら、決められたフォーマットで配信をしなければいけないため、伝えたい情報を伝えたいだけ伝えるのが難しい媒体でもあります。
その点、コンテンツであれば、各プラットフォームごとに異なりはするものの、基本的には伝えたい情報を伝えたいだけ伝えることが可能です。
ブログで2万文字の長文コンテンツを作ってもいいですし、YouTubeを1.5時間撮影しても問題ありません(LANYでもやってます)
自分たちが伝えたいことを100%伝えやすいため、コンテンツに触れた人がより好きになりやすい傾向もあるでしょう。
自分たちが伝えたい情報を、伝えたいフォーマットで、伝えたい人に届けることができるコンテンツマーケティングは、好意度を高めるための最適なプラットフォームであると感じます。
UGC経由での接触がしやすい
特にTwitterなどのSNSでは、UGC(User Generated Content)が発生しやすいです。
コンテンツが2次拡散されていくことで、より多くの方にリーチできる利点はもちろんですが、拡散元の人に好意度が高い場合には、拡散されてきたコンテンツおよびその提供元への好意度も高くなりやすいのが特徴です。
コンテンツの品質が高ければ、多くの人が2次拡散をしてくれます。
Twitterなどのオープンの場でなくても、ダークソーシャルと呼ばれる社内チャットやLINEなどのクローズドの場でも拡散が起きていくはずです。
そうすることで、単純な接触頻度だけでなく、好意度も醸成されやすいと思うので、やっぱりコンテンツマーケティングって素敵だなと思います。
コンテンツマーケティングで第一想起獲得を目指すTips
全然まだ第一想起を取れていないのでお恥ずかしいのですが、こんなことをやるとコンテンツマーケティングによって第一想起を獲得することに近付くのではないかというTipsをまとめてみます。
コンテンツ量産体制を作る
コアターゲット経由での戦略ターゲットへの接触を目指す
がっかりさせない
コンテンツ量産体制を作る
接触頻度を高めるためには、コンテンツ量が重要になります。
コンテンツ量産体制を作るためには、コンテンツ制作の体制と運用フローを整備することが重要です。
LANYでは、コンテンツのエッセンスとなる部分は社員が担当し、それ以外の業務はインターン生や業務サポートの方にご協力いただいています。
また、一つのコンテンツの形を変えて、各種プラットフォームで発信することも積極的にしています。
ブログ記事の内容の一部をTwitter(X!!)で発信したり、メルマガにしたり、YouTubeやホワイトペーパーにまとめたりもして、より頻度高く投稿するのが我々のやり方です。
また、そのコンテンツ再利用の際にもインターン生や業務サポートの方々に協力いただいて、よりエッセンスを作る必要のある社員の工数をかけない形での展開ができるように工夫しています。
詳細な運用等は、LANYのBizOpsチームの市川(@_matchable)が記事にまとめているので、興味があればぜひ読んでみてください。
また、LANYのBizOpsチームで一緒に働いてくれる仲間も募集しておりますので、ぜひ興味がある方は下記のnoteもお読みいただけると嬉しいです。
コアターゲット経由での戦略ターゲットへの接触を目指す
ターゲットとなる方々の第一想起を取り切るには、かなりの時間と資金が必要になります。
LANYのような法人3期目の小さな会社では、莫大なリソースを注ぎ込むことができないため、「どこにリソースを集中させるか」を戦略的に考えて進めてきました。
私たちはコアターゲットにリソースを集中させることで、戦略ターゲットにUGC的にリーチしていく戦略を描いています。
LANYのコアターゲットは「すでに80点のSEOができていて、残りの20点が取れずに困っている企業」です。
そのコアターゲットの方々が満足できる情報を出すために、実践的かつ他メディアでは手に入らない独自性の高い一次情報を積極的に発信しています。
その方々をコアターゲットとしつつ、その周辺には「SEOで困っている企業(80点までできていない企業」を戦略ターゲットとしていますが、そこを満足させるためのコンテンツも作っていく余裕は正直ありません。
だからこそ、コアターゲットの方経由で、戦略ターゲットにリーチしていく戦略を描いているのですが、イメージは次のような形です。
戦略ターゲットがSEOに困った時に想起される "周りにいるSEOに詳しい人" の "SEOに詳しい企業" の第一想起を取るイメージです。
コンテンツマーケティングを通してコアターゲットの方々の信頼を獲得することで、下記のような事象が発生します。
SEOを勉強するなら、LANYのYouTubeを見なよと紹介される
SEOに困ったなら、LANYのSEOコンサル検討してみたらと紹介される
SEOを本気でやりたかったら、LANYに入社したらと紹介される
SEOに詳しい方々をコアターゲットとしておくことで、社外に優秀すぎる営業担当の方が自然発生的に生み出されていくような想像をしています。
コンテンツマーケティングを通して「誰の第一想起を取るのか」にも戦略を持たせるのがおすすめです。
がっかりさせない
信頼を築くのは長い時間がかかるものの、信頼を失うのは一瞬とはよく言ったもので、コンテンツマーケティングでも似たようなことは起こります。
「最近、〇〇さんのコンテンツ面白くなくなったよね」となってしまえば、その後の接触頻度は下がりますし、好意度も下がっていくでしょう。
第一想起は一度獲得して終わりではなく、キープし続けるためのメンテナンスが必要です。
メンテナンスをせずに放置してしまったり、がっかりさせてしまうようなコンテンツを作ってしまうと、最悪の場合、想起集合からも外れてしまうことすらあるでしょう。
コンテンツマーケティングを進めていく上では、量を意識していくものの、コンセプトやターゲットから外れることだけはしない方が良いです。
常にコンテンツが公開されるのを楽しみにしてもらえているジャンプみたいな状態が目指すべき状態かと思いますので、がっかりさせることがないように気をつけましょう。
まとめ
コンテンツマーケティングが第一想起の獲得に寄与するのではないかという自分の中での最近のふわっとした考えを言語化してみました。
自分自身の言語化および備忘録的な要素も強いので、読みづらい部分やわかりづらい部分、みなさんと考えが異なる部分もあったかと思います。
その点は多めにみてもらいつつ、何か少しでも読んでくださった方に参考になる点があったら嬉しいです。
▼筆者のTwitterアカウント
https://twitter.com/take_404
最後までお読みいただき、ありがとうございました!