きれいな野菜
※本名の「菜美」で書いています。
「菜美の名前はね、菜の花のように美しいって意味よ」
母は聞かなくてもよく私に名前の由来を語った。姉妹で全くバラバラの名前を付ける場合もあるが、うちは三姉妹セット。菜美、美緒、真菜。下の二人に、私の字が一つずつ入っている。
しかし、菜美の名の由来はこじつけだ。なぜなら、本来「みなみ」と付けるはずが、一文字外しただけだからだ。
「当時、タッチが流行ってたのよ。そのみなみちゃんから取ろうと思ったけど、病室の人もみなみって付けようとしてて、世代的にかぶりそうだなと思ったのよ〜」
とのことである。実際、二歳上にはかの有名な田中みな実が。私は夏生まれなので「美波」の予定だったようだが、回避してもらってよかった。
しかし、母は怖い。私が生まれた時に三人の女の子の名前をセットで用意していたのだ。
美波、美雪、美咲。
「菜美が生まれた時、本当に可愛くて、女の子三姉妹にしよって心に決めたのよ〜」
心に決めて、全員女の子で三人産み分けられる人がどこにいるのだろう?母がどんな方法で三姉妹を実現したのかは未だに分からないし、知りたくもない。
さて、そんなこんなで菜美という名を授かった私だが、まず菜の花は大して美しくない。美しい花と言ったら、バラやマーガレットなどだろう。菜の花は美しさより、油やおひたしなど、食用のイメージが強い。実用的な花ということにしておこうか。
また、韓国や中国の人に会う機会があると、名前を
「サイ…ビ?」
と読まれてしまう。「な」という読み方は訓読み、「み」は音読み。日本らしい音訓読みの混ざった構成のため、日本の人以外には理解されない。
「名前に菜を使うなんて珍しいね。野菜って意味?」
韓国、中国ではこの字に「菜の花」の意味はない。きれいな野菜。どんな名前や。
ヘルシー路線でいこうと思います。
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