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経験経済の次にくる経済はなにか

ちょうど今から20年前の1998年、みなさんは何歳で何をしていましたか?

その1998年に書かれた本で経験(Experience)が価値となり経済の中心となるという内容の本を安藤先生に教えて頂けました。興味深いのは、経験経済の先まで予測されていて興味深く一気読みしました。翻訳された本で少しわかりにくい表現もありますが、できる範囲で僕なりにまとめてみました。


新たな価値の源泉として「経験」そしてその先

経験は第四の経済価値とあります。これまではサービス業に分類されていたため、存在に気づいてもらえなかった経済価値とのことで、認知・顕在化してきました。(UXデザイナーにとっては復習かもしれません)

この本では経験経済の先が予測されています。
経験をカスタマイズして顧客にぴったりの経験をつくり出し、求められているものをズバリ提供すれば、企業はその人を変えるような影響を及ばすことができます。それは「人生を変えるような経験」と言われる経験ですね。経験をカスタマイズすることで「変革」という経済価値にシフトすることになり、それが経験経済の先である「変革経済」となると予測されています。


経済価値の進展の全体像

下記図のように、経済価値の進展は、それぞれの一段下の価値の上に連続的に積み上げられた形として表せます。

変革を導けるような「人生を変えるような経験」を描き演出するためには、3つのポイントがあります。

経験にテーマを

経験にテーマを設定することは非常に効果的です。
テーマをしっかり設定すると、経験に一貫性がうまれいろいろな印象を整理するときに核となるイメージができ、人の心を動かしたり惹きつけたりすることができ、記憶に残るものになります。事例があります。

ディズニーランドは、1953年に計画がスタートした世界初のテーマパークでしたが、テーマは「幸福と知識を与える場所」でした。
シンプルだけど聞く人の心にすばらしいイメージを呼び起こし、あっという間にスポンサーを獲得し、二年も経たないうちにオープンした"テーマパーク"は予想を遥かに超える来場者を迎えた。

経験を4Eで演出する

4Eとは、Entertainment、Educational、Esthetic、Escapistの頭文字で、横軸は顧客参加度、縦軸は顧客と経験を結ぶ関係性・状況性で分類でき、この特性に合った場をつくり出していくことになります。
(個人的には、縦軸の違いがあるのはわかるが言葉にしっくりきていない。もう少し適切な表現があると思うので考えたい。)

そして、洗練する為の問いがありますので、これを使って自問自答してみてはいかがでしょうか。

□ ゲストの周りの環境がいまより魅力的で、面白くて、心地よくなるようにするために、何ができるだろうか。(Esthetic側面を改善)
□ 能動的な参加者になってもらうために、ゲストが何をすることができるか。(Escapist側面を改善)
□ ゲストはどんなことを学ぶべきだろうか。どんな情報や活動がゲストの知的好奇心を刺激し続けられるだろうか。(Educational側面を改善)
□ ゲストの関心を留めるために何ができるだろうか。どうすればもっと面白くて楽しめる経験を提供できるだろうか。(Entertainment側面を改善)

顧客満足と顧客我慢

顧客の状況を理解するのに2つあって、まず1つは「顧客満足」です。

顧客満足 = 顧客が得られると期待しているもの - 顧客が得られたと認知しているもの

もう1つは「顧客我慢」です。

顧客我慢 = 顧客が本当に求めているもの - 顧客が心ならずも受け入れたもの

顧客我慢を理解すれば、顧客が本当に欲しいものと現実に受け入れたものとの違いを見分けられるようになり、 企業は、顧客満足の向上を目指し全ての品質向上を行うと同時に、顧客我慢を軽減すべくマス・カスタマイゼーションを行なう必要性が見えてきます。

※ マス・カスタマイゼーション : 大量生産に近い生産性を保ちつつ、個々の顧客のニーズに合う商品やサービスを生み出すこと


変革を導くためには

変革には「経験の演出」だけでなく、その前後も大事になってきます。

「望みの診断」には、
・顧客は何を望んでいるのか。
・その望みと比較して現在はどのあたりにいるのか。
・どうすれば顧客の望む変革が達成できるだろうか。
などの理想と現状の正確な理解・把握からスタートします。

「事後のフォロースルー」には、維持と退化防止が必要で、一番難しいとのことです。個人の実感としても難しさと泥臭さが必要という認識です。(あまり記述がない)


経験と変革のビジネスの違い

「経験を演出すること」と「変革を導くこと」の最大の違いは、劇場で例えると、役者の役割が売り手から買い手に替わることです。

経験のビジネスの場合、ステージングを行う社員が役者(売り手)が、ゲストである観客(買い手)を惹きつけるために、役柄を演じたりキャラクターを組み立てたりする。
変革のビジネスの場合、経験は最初の手助けになるが、やがて買い手自身でできるようになり手助け不要になります。その時、変革のガイド(売り手)の役割は、大きな望みを抱く役者(買い手)が新たな役割を演じるのを明確なビジョンに基づいて監督すること。になります。

ただし、変革のガイドは顧客を変化させることができません。顧客がガイドの演出を受け入れ、自らが変わろうとして行動する必要があります。
(イギリスの諺で、馬を水飲み場に連れていくことはできるが、馬に水を飲ませることまではできない。と同じ)
とはいえ、顧客の信頼を得られないと参加すらしてもらえないので、4つのヒントをうまく使って信頼を勝ち取り、積極的になってもらうことが重要になります。

1. カスタマイズすること。一対一の関係を築いていく。
2. 本当に惹きつけてやまない経験をステージングすること。新たな発見や忘れがたい経験をしてもらう。
3. 役者(買い手)が新しい演技をリハーサルできる場を設けること。他者からも学びたい意欲のある買い手を集めてコミュニティをつくり出す。
4. 役者の演技を演出すること。命令するのではなく、サポートと干渉の間の絶妙なバランスをうまくとる。


最後に

UXやユーザー体験という言葉をよく耳にし、浸透してきたと感じる一方で、サービスの均質化を感じる場面もあり、均質化が経験を価値に転嫁する障壁となっているのではないか。と思っています。
これを解決するには、難しさや怖さがあるかもしれませんが「あえて余白をつくる」ことがカスタマイズを可能にし、顧客を導く存在として振る舞うことができ、経験から変革へ進展できる可能性がうまれるのではないでしょうか。

そして、特にシニアなUXデザイナーの方、UXリサーチャーの方には、UXデザインの進化となりえる変革ビジネスの可能性やキャリア論について議論したり切り開いてほしいと思うので、ぜひ、読んでみてほしいです。
(なんて他力な。。。僕もガンバリマス)

個人的には、全ての企業が変革を導く存在になりえるのか。難しいのではないか。他に方法はあるのか。すごく興味が出てきています。


紹介してくださった安藤先生は、このテーマで登壇しスライドを公開されていますので、こちらも要チェックです。


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たけてつ
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