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異次元
不思議な時間だった。ある日曜日の出来事。
故郷に戻った私は買物のため、商店街内にあるコンビニを訪れた。
余談だが、最近のコンビニスイーツのクオリティは非常に高く、元洋菓子職人としても認めないわけにはいかないほど、味も、値段も、安全性も申し分ない。
なので、甘党の私にとっては家で作った方が美味しいのはわかっているが、時間をかけて作るより、お手軽に購入できる方をついつい選択してしまう。
と、いうわけでその日もコンビニで甘いものを物色中、背後に謎の集団が!
黒ずくめのジャージの10数名の高校生?らしきその何かの部活なのかどうなのか、しかし、全員身体の線は細く髪の色もカラフルで、とても運動部だとは思えない、男か女かわからない、中性的なその方たちの背中には「烏野高校」と刺繍されている。見たことあるような無いような、近くで見ると全員女性だとわかった。坊主頭の人もいれば、オレンジの髪も、皆、男っぽく振舞ってはいるが!
解かった!!!
「ハイキュー」そう漫画、アニメのハイキューのキャラクターたち.個々のキャラクター名はこの作品は購読していないし、アニメもチョロっとしか拝見したことがないので、どのキャラクターに変身しているのかは存じないが、と店の外に今度は綾波レイやアスカといったエヴァンゲリオン組も、綾波レイは何人かいた。「大中小」色々な綾波がいる。
何のアニメか全く知らないがカラフルなその容姿の異次元人たちはタカラヅカとも違った独特の空気をかもしだしている。
それぞれのグループには高そげな一眼レフカメラを構えている専属のカメラマン・ウーマンがいるようだ。篠山紀信にそっくりのかたもいる。これもコスプレの一部なのかと、少しにやけてしまった。
そういえば、この下町は、コスプレイヤーの聖地になっているとも聞いたことがあったような無かったような。
皆、楽しそうに嬉しそうに、誰に迷惑をかけることもなくエンジョイしている姿は微笑ましく、何かうらやましくもある。
しかし、コスプレイヤーはビジュアル系しかいないのか?コメディ系も拝見したいものだとも思う。バカボンとかハクション大魔王とか。それは、また別の世界か。
少し小幸せな気持ちで自転車で帰路に、ふと左斜め前方に目を向ける。
「帝国華撃団」のメンバーキャラたちが集団撮影をポーズをきめて実に楽しそうにみえる。レコード屋さんの前で!その時まだあったんや!昔っからあるこのレコード店には私の小学1年生当時の思い出がある。なんとけなげで従順な少年なんやと。。。
私には4つ上の兄がいる。その兄の命令でよく、ぱしらされていた。何の見返りもないのに。
小坂明子の「あなた」が大ヒットしてレコード店にぱしらされた。3軒まわったが、どこも売り切れ、すると帰って来た私にもう1回行って来いと、当然ない。計3回、私はなぜ命令に従っていたのだろう。あくる日もまた行った気がする。そしてゲットできたのがこのレコード屋さんである。礼も無かったことははっきり覚えている。
もう1つ、初めて自分のレコードもここで購入した。「今度は、お父ちゃんにたのまれたんか?」兄にええのがあると教えてもらった通り素直に買ったこのレコードこそ森進一の「冬の旅」そらお使いとおもうだろう。
今では笑える話だが、当時の兄に尋ねてみたい、弟をなんやと思っていたのかを。私は昔のことは本当によくおぼえている。都合の悪いことはわすれるが。。。。