【一人で勝手に旅気分】348
(過去の旅についての振り返りです)
★インド文化のイメージVSマレーシアのイメージ(2018年8月18日)
【記事累積:2032本目、連続投稿:965日目】
<探究対象…マレーシア、クラン、インド人街、モスク>
今日の「ナゼ・ナゾ」は、マレーシア・クランの写真です。この写真を撮影したのは、シンガポール日本人学校に勤めていた頃の夏休みに、マレー鉄道を北上してマレーシアを散策したときでした。さて、どんなところが「ナゼ(疑問を持った)・ナゾ(気になった)・アンテナ」に反応したのでしょうか。
今日の写真に映っているのは「クランの町のモスク」です。クランはマレーシアの首都クアラルンプールから鉄道に乗って、西側に向かったところにある港町です。
私がここに注目した理由は何であるのか推察してみると、マレーシアといえばイスラーム国家なのでモスクが各地に建っているのは不思議ではないものの、クランの駅を降りて少し歩いた所にはインド人居住地域が広がっていたので、その雰囲気とモスクとの間に違和感を覚えたからだと思います。シンガポールにもリトルインディアと呼ばれるインド人居住地域があります。そこにはインド文化を象徴するようにたくさんのヒンドゥー寺院が建っています。しかしこのクランの町の場合は、道路の看板にはタミル文字が目につき、行きかう人もインド系の方が多くて、インド文化のイメージ満載であるにも関わらず、そこに建っていたのはイスラーム文化を象徴するモスクだったのです。
今回の「ナゼ・ナゾ」は、マレーシアを基準に考えるとモスクに違和感がないのに、インド文化を基準に考えるとモスクに違和感が出てくる写真でした。マレーシアなどマレー半島の国々は、歴史的に見てみると、古代からインドの文化が浸透していました。しかしその後、ムスリム商人たちによってイスラーム文化がもたらされ、両者の文化は長い時間をかけて混ざり合い、現在に至っています。そのため、「インド文化=ヒンドゥーのみ」というステレオタイプなイメージではなく、イスラームの文化も密接に関わっているのです。ただ現代的なマレーシアのイメージだと、イスラーム文化の印象が強いので、そこにインド人居住地域があることが意外に思えたりもしますが、このような文化の融合はマレー半島がヒトやモノが目まぐるしく行き交う文化の交差点であり続けたことの証ですね。