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「離島で保健師をやってみた」第12回 〜はじめて離島に着いたときのエピソード2〜

 保健師としての採用は6月からでした。数日前の5月下旬に島に到着しましたので、実際に働き始めるまで、数日、時間がありました。その間、島を見学したり、身の回りを整えたりしていました。

 着いた日からの2〜3日は、すごく精神的に追いつめられた日々を過ごしました。島に着いた日の夜、ものすごい孤独感におそわれました。離島の船は、基本的に夜は運行しません。夜は船がでなくて、離島に取り残される感覚が激しく自分を襲い、不安と恐怖でいっぱいでした。少しずつその感覚は慣れていきましたが、キューと身がつまる思いを毎日していたことを覚えています。

 時には不安と恐怖でいたたまれなくなり、涙があふれてきたこともありました。島に行くまでは、無我夢中で準備をし、いろいろな希望で満ちあふれていましたが、島に着いたとたん、急に冷静になって「なんでこのようなところにきてしまったのだろう」と島に来たことを後悔したり、「いまならまだ引き返せる、やっぱり帰ろう」と、引っ越し荷物のまだ開封していない段ボールの山を見て、本気で島から逃げ出すことを考えたりもしました。

 しかし、ある意味、いろいろなものを犠牲にして、せっかく島に来たんじゃないかという気持ちや、島であたたかく迎えてくれた住民のみなさんのためにやっぱりがんばってみようという想いを強く持ち続けることで、なんとか乗り切ることができました。しばらくは、そういったつらい時期を過ごしたことを今でもよく覚えています。(他の島の話ですが、島に着いて3日くらいで帰ってしまった保健師さんが実際にいたそうです、すごく気持ち、わかります(笑)。)

 島に来る前、課長さんから「海はほんとにきれいです!」と何回もいわれていて、すごく楽しみにしていたのですが、5月の沖縄は梅雨の時期であり、私が島に着いてから1週間くらいはずっと曇りや雨でした。沖縄の海に限りませんが、海の色は空の色に反映するので、曇りでもある程度海はきれいと感じましたが「きれいといってもこのくらいなんだ〜」とすこしがっかりしていました。

 しばらく曇りが続いていたため、気分も落ち込んでいたのかもしれません。実際にはじめて晴れて、きれいな海を見ることができたのは、島について10日くらい経った頃でした。もし島に着いてすぐに、カラッと晴れて、きれいな海を見ることができていたら、私の気分も早めに上向いていたかもしれません。

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小池武嗣(こいけたけし)
フライトナースや離島の保健師の経験を還元できるようなバーチャルリアリティ環境の構築およびコンテンツ作成が主な研究分野です。研究のための寄付を募っております。研究の成果はこのnoteで公表していく予定です。どうぞよろしくお願いいたします。

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