「老後2000万円」問題の起源は?そして、今後の審議の見通しは?
与野党の質疑で取り沙汰された「老後2000万円」問題。議論が平行線に終わっていて、老後2000万円問題に端を発した老後生活の不安を解消できるような建設的な具体案は出てきていない。このままでは、現状が放置されるだけである。
そもそも、金融審議会報告書が契機となった「老後2000万円」問題の起源は何だったのか。それは、NISAを時限措置で入れたことだった。そのことについて、東洋経済オンラインの連載「岐路に立つ日本の財政」に拙稿「『老後2000万円』問題の落としどころは何か 公的年金、私的年金と税制の横断的な議論を」にて言及している。
あの金融審議会報告書を、どうして参議院選挙を控えたこの6月に出さなければならなかったのか。もし今年が参議院選挙がない年だったらどのような審議の経緯をたどっただろうか。そもそも、金融審議会での議論の中心だったNISAは、公的年金や私的年金とともに総合的に議論しなければならなかった問題だったのだ。そうした点について、深堀している。