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転職して3年、役員になって1年半、自分に起こった変化をまとめてみた

振り返ると時代は平成から令和へ突入し、ゴーリストに転職して丸3年の月日が流れました。前回この手の話をまとめたのは転職して1年が過ぎた頃(2年前)でした。

転職1年目の変化
1.会う人・会える人が増えた
2.コスト感覚がアホみたいに強くなった
3.「戦略とは何か」を少し理解できた

それから役員になりメンバーの転職先を一緒に探したり、新たなメンバーを迎え入れたり、飽きることのない日々を過ごしています。振り返ると、おかげさまで自分の目で見えること、感じることも変わってきたので誰かのなんかの参考になればと思い、まとめてみました。

こんな人に読んでもらったらヒントになるかも
・今は経営者ではないが経営に興味がある方
・マネジメントとプレーヤーの狭間で葛藤する方
・組織づくりに悩んでいる方

1.人が増えるとコミュニケーションコストが増える

頭よりも手を動かしてやる仕事も引き続きやっているし、もちろん客先へも行く。2月、リモートになってから移動がなくなった分、余計にカレンダーの予定はギチギチだ。

そんなことをしていると20人以上いるメンバーに丁寧にかまってあげることはできない。せいぜい日報に目を通す程度だ。自分で直接見るメンバーは5名以下にするのがマネジメントの鉄則であり、その5名のメンバーがまた5名のメンバーを見ていけば、結果25名のチームを見れることになる。

そして事業部長・編集長としてBSC/OKR/アクションプラン/PLと、目の前で起こっていることをしこたまにらめっこし、進む方向をアップデートする。

50人弱の組織になって複数事業走り出すと、コミュニケーションコストはバカにならない。どこで何が起こり出しているのか分かりにくくなくなるし、メンバーの判断と経営の判断がズレてくることもある。

だからこそ、ゴーリストでは創業期から"リンゴをリンゴと言える社風"を作ることに最注力してきた。リンゴがアップルや赤い丸いものになってしまうとコミュニケーションコストが膨らんでしまうのだ。特にこのコストは財務諸表やKPIにも数値で表れないコストだから厄介なのだ。

外国籍メンバー比率も言うてる間に50%を超えそうな組織だが、外国籍メンバーはナチュラルにリンゴをリンゴと伝えてくれるメンバーが多い。一緒に働いてみた結果論かもしれないが、彼らが活きやすい社風ができていたのかもしれない。

2.熱が帯びるチームの条件

さて、メンバーの声を聞くのもさることながら、戦略や方針の発信者側の立場で話をしよう。先ほども述べたとおり、組織が大きくなってくるとなかなかメッセージが浸透しにくくなる。普段から全てのメンバーと均等に接することができればいいが、1日は24時間、物理的に難しい。

キックオフなどでみんなが集まる場で伝えはするが、その後は伝言ゲーム。誰かや何かを介して伝えていくことになる。そして伝達していくたびにその熱は失われていくのだ。物理学・熱伝導の授業でもそんなようなことを言っていた気がする。

ちなみに管理職の方はこの伝言ゲームの際に、自分の言葉で言い換えることを意識して欲しい。「あの人がこう言っていた」といったフィードバックになってしまうと、そのチームのメンバーは元の発信者に話を聞かないといけなくなる。めんどくさいし、管理職である意味がない。そうやってメンバーは徐々に自分の仕事の意味が見いだせなくなっていくのだ。管理職は自分の言葉で伝えることで、言葉が熱を帯び、強いチームが出来上がる。

またこれは自分自身も意識していることだが「1度言ったけどなんで覚えてないの?」はナンセンスだ。いつだって発信者側に責任があると思ったほうが良い。発信者側が言い続けないと浸透しない、つまり実現しない。狂ったように言い続けて、徐々に組織に浸透していくのである。

そのために、発信する際は「言い続けやすく、頭に残りやすい、短い言葉に魂を込める」ことを大事にしている。直近であれば「Are You Happy?」を掲げ、自分たちのお客様がいまどんな表情をしているのか確認することに重きを置いている。

こんな感じで戦略や方針を考えるのはもちろん、実現するために伝達し、いかにGREATなチームを作るか考える日々を過ごしている。

3.打率10割が求められるバッターボックス

一方で現場仕事もやっている。主として営業を担当しているが、新しい領域への進出や新しいプロダクトは必ず自分が関わるようにしている。新人に新しいことを任せると大体失敗する。新しいことは既存メンバーに任せるのが勝利の方程式なのだ。

そして、たくさん取材してきた売れっ子営業マンたちは「未来の予定を埋める」「カケヨミで売上予測する」という、つまり打席数×打率の考え方で売上を作っている。誰よりも多く打席に立ち、空振りも含めて繰り返していくことで打率を上げていく。実に素晴らしい。量が質を凌駕するとはよく言ったもんだ。

さて役員になってからというものの、空振り・凡打どころか四死球でさえ許されない場面が圧倒的に増えた。どんな球が来ても、ランナーを返さなくてはいけない打率10割が求められる。なんならランナーがいなくても打点をあげなくてはいけない場面もある。

とくにHRogのHRビッグデータ事業は人材業界をターゲットにしているので、大手が何社もあるわけではない。大手との商談失注は自分たちの事業の限界を意味する。

自ずと「お客さんの課題は何か、どんな情報を提供すればプラスになるのか」をお客さんと共に考える営業スタイルになっていった。売るっていうよりも一緒に仕事をするってスタンスが近い。基本お客さんが話している場面が目立つ。そうなるための合言葉は「 #無茶ぶり大歓迎 」にしている。

受注はスタートライン、場合によっては納品もスタートラインであり、運用こそがお客さんの成果に近い部分になる。受注や達成で喜ぶ営業マンに感じていた違和感はこういうことだったのだと気付いた。

4.決断にはとんでもないエネルギーを使う

さて、例えばこんな場面。

目の前は急務。現場は手が足りていなくて疲弊が目立つ。カルチャーにフィットする新卒や若手を採用して長い目で育てていく余裕なんかどこにもない、経験重視の即戦力を採用するしかない

この「しかない」発言をしているときは要注意だ。もっと大きな問題を引き起こす可能性が高い。

経験はピッタリだが、カルチャーフィットしていない人がカルチャーまでフィットしているように見えてしまい採用してしまうパターンだ。経験がフィットしていると自ずと都合のいいように解釈して、カルチャーまでフィットしているように見えてしまうのだ。経験とカルチャーは別物だが、恋は盲目というように採用も盲目になってしまいがちだ。

「そんなの分かってるよ」って声が聞こえてきそうだが、実際採用活動をやってみるとコレがまたムズイ。そのくらい人は人を見抜けないし、人は人を変えられない。採用となると「やっぱ、やーめた」ができない不可逆の意思決定は慎重でいいと思う。

「しかない」発言をしているとき、その思考は停止しているぞ。振り子の反対側にはどんな選択肢がある?一度立ち止まって考えてみよう。

そしてその際の思考ポイントは時間軸を長く取ること。普段1ヶ月やQ(3ヶ月)での目標管理が主となる方は1年、3年と想像しうる限り未来のことを考えてみよう。誰に与えられるでもなく、自分自身で考えてみるのだ。

更にその未来に150点の状態、100点の状態、50点の状態を作る。うまくいった場合はメディアにインタビューされ「一番の要因はなんですか?」と聞かれたときになんと答えるか、はたまたうまくいかなかったときには自分はなんと言い訳しているのか、これを考えるだけでも見えることは変わってくる。

1つのことを決断するのに毎回どちらとも正しいと言える51:49の論争を頭のなかで繰り返し、結論を下す。とにかく経営には胆力が必要だ。

5.怒られる・褒められるの世界にサヨウナラ

一応言っておくと、役員になってからというものの、こっぴどく怒られることもないし、どれだけ成果をあげても褒められることもなくなった。自由である一方で内省していかなければならない。この自由のなかの不自由さに溺れる人も一定数いるのではないかと思う。つまり決めてもらったことが楽なことも多々あるのだ。

ちなみに自身の内省は毎週月曜日の早朝にサウナに行き、オフラインの環境で小1時間ほど目を閉じて無になる。不思議なもので続けていると暗いなかから、いろんなキーワードが浮かびあがってくる。僕の思考ではだいたい1週間単位の目の前の課題が中心に上がってくるので、それは昼間に考えるとして一旦置いておき、1ヶ月後や半年後のことを想像してみることが多い。

そこにあるのは現実と野心的な未来だけ。変えられないネガティブ過去を嘆いたり、華々しい成果に酔っていてはいけない。

6.HRビッグデータ事業のいま

僕の管掌するHRビッグデータ事業ではWeb上に公開されている求人データをクローリングし、膨大なビッグデータを蓄積しています。一定数の知名度をもつメディア(HRog)はもちろん、2020年でその事業領域は徐々にすそ野を広げてきました。

長らく時間を掛けて仕込んでいた内閣府との仕事がひとつ形になったりマサチューセッツ工科大学との共同研究を行ったり日経新聞でも取り上げられることができました。

またゴーリストはメンバーの半数がエンジニアとデザイナーのチームであり、人材業界向けのプロダクトのUI/UX改善、DX推進を主とした受託開発にたくさん引き合いをいただいていたり、HRogのYouTubeチャンネルに試行錯誤していたり。

この2年間全社OKRに掲げ続けた「good to GREAT!」が徐々に形になってきました。

来年の4月にはこれまた個性強めの新卒が6名ほど入社予定であり、更に人材業界を盛り上げるべく、現在はUI/UXデザイナープロマネ候補を募集しています!このnoteを読んでいただき、ちょっとでもピンときた方はぜひコメントやTwitterやfacebookでメッセージをください。

もちろん国籍不問で、自薦他薦は問いません(人材紹介会社の方でもお気軽にご連絡ください)


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Takeo Kikuchi
HRog編集長の見えてること、考えていることを発信しています!HR業界、メディア作り、事業作り、組織作り!